島津季久

島津季久：豊州家初代当主、激動の生涯

島津季久（しまづ すえひさ）は、応永20年（1413年）に生まれ、文明9年8月6日（1477年9月22日）に没した室町時代中期の武将です。薩摩島津氏の分家である豊州家の初代当主として、その名を歴史に刻んでいます。

生い立ちと豊州家創設

季久は、島津宗家8代当主・島津久豊の三男として生まれました。母は上原氏の娘とされています。季久は庶子であったものの、その才能は早くから注目されていました。兄である島津宗家9代当主・島津忠国の命により、平山氏を攻め、帖佐を領有。その際に瓜生野城（後の建昌城）を築き、その基盤を固めました。季久が豊後守を称したことから、彼の家系は「豊州家」と呼ばれるようになりました。

応仁の乱と島津家内の対立

応仁元年（1467年）に京都で応仁の乱が勃発すると、その影響は九州にも及び、島津家も東西両軍に分かれて争うことになります。島津宗家10代当主・島津立久は東軍に与しましたが、季久は西軍に属しました。これは、どちらが勝利しても自らの勢力を維持できるようにという、戦略的な判断からでした。

島津宗家11代当主・島津忠昌の時代になると、季久は肥後方面への戦略をめぐって忠昌と対立。帖佐で挙兵し、本家の居城である清水城に迫るほどの勢力を見せつけました。忠昌は伊集院一宇治城へと一時的に避難を余儀なくされます。しかし、同じくして乱を起こした相州家の島津友久が忠昌に敗れると、季久は恭順の意を示し、戦乱は一時的に収束に向かいました。

晩年と菩提寺

晩年、季久は豊州家の菩提寺として総禅寺（現在の鹿児島県姶良市）を建立しました。しかし、寺の完成を見ることなく、文明9年（1477年）に65歳で病没。遺骸は一時的に近くの雲門寺に埋葬され、総禅寺の完成後に改葬されました。現在、総禅寺跡には季久の墓が現存していますが、廃寺となっているため整備は進んでいません。

子孫

季久は、日置久儀の娘を正室とし、多くの子をもうけました。長男の島津忠廉は豊州家2代当主となり、次男の平山忠康は平山城主として平山氏を称しました。また、長女は北郷数久に嫁ぎ、その子孫は北郷氏の重要な役割を担うことになります。その他、加治木氏の養子となった三男の加治木満久、総禅寺の実質的な開山僧となった四男の島津守興、五男の幸久、六男の忠季、七男の梅谷芳清など、多くの子どもたちが各方面で活躍しました。

系譜

父：島津久豊
母：上原氏某の娘
正室：日置久儀の娘（法名：芳林妙香大姉）
長男：島津忠廉（豊州家2代当主）
次男：平山忠康
長女：北郷数久の妻
三男：加治木満久
四男：島津守興
五男：幸久
六男：忠季（のち安久と改名）
* 七男：梅谷芳清

島津季久は、その生涯を通じて、激動の時代を生き抜いた武将でした。分家でありながらも、島津宗家と対等に渡り合い、独自の勢力を築き上げたその姿は、後世に語り継がれています。

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