島津貴品

島津貴品（しまづ たかしな）は、江戸時代後期に活躍した薩摩藩の藩士であり、大隅郡垂水（たるみ）の領主でした。彼は、藩主一門である垂水島津家の11代当主として、その家を継ぎました。

宝暦7年（1758年）12月14日、日置島津久暢（ひおきしまづひさのぶ）の長男としてこの世に生を受けました。母は、垂水島津家9代当主であった島津貴儔（しまづたかとも）の娘です。安永3年（1774年）1月、藩主である島津重豪（しまづしげひで）の命により、貴澄（たかずみ）の養子となり、それまでの久典（ひさのり）という名を貴品に改めました。

享和3年（1803年）12月には、養父である貴澄が隠居したため、家督を相続し、垂水島津家の当主となりました。文化5年（1808年）1月には、使者を派遣して、先代当主である貴澄の遺髪を高野山に納め、その冥福を祈りました。

文化7年（1810年）6月には、幕府の天文方であった伊能忠敬（いのうただたか）が領内を訪れて測量を行った際、家臣に測量の支援をさせ、その事業に協力しました。この出来事は、貴品が文化的な事業にも理解を示し、積極的に関わっていたことを示しています。

文化9年（1812年）には、先代当主である貴澄の漢詩集『廃簏詩稿（はいろくしこう）』が刊行されました。この詩集の付録には、貴品自身や、貴明（たかあきら）（または貴柄）の挽詩集が収録されており、貴品が詩文にも親しんでいたことがうかがえます。

文化13年（1816年）5月7日、島津貴品は60歳でこの世を去りました。その生涯は、藩士としての務めを果たすとともに、文化的な活動にも貢献したものでした。

参考文献

『垂水市史』第1巻 垂水市史編集委員会、1973年

参考サイト

西尾市岩瀬文庫／古典籍書誌データベース

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