崔顥

崔顥（さい こう）

崔顥（生年不詳 - 754年）は、中国唐代の詩人であり、汴州（現在の河南省開封市）の出身です。本貫は博陵郡安平県。

生涯

若い頃は素行が悪く、博打や酒に溺れる日々を過ごしました。また、美しい女性を選んでは妻にするものの、すぐに飽きて離縁するということを繰り返し、生涯で4、5回も妻を変えたと伝えられています。江南地方を各地を旅した後、723年（開元11年）に進士に及第します。若い頃は軽薄で浮ついた内容の詩を多く詠んでいましたが、開元年間の後期に太原の河東節度使の幕僚となってからは、その作風は一変します。辺境での経験を通して、気骨のある力強い作風へと変化を遂げました。天宝年間の初め頃には太僕寺の丞となり、尚書省吏部司勲員外郎（従六品上）にまで昇進し、754年（天宝13載）に亡くなりました。

中唐の時代になると、南朝から初唐にかけて流行した華麗な詩風が批判されるようになり、古体詩を手本として、詩歌に爽やかで剛健な風格を求める風潮が強まりました。唐の天宝期の文学者である殷璠は、著書『河岳英霊集』の中で、崔顥について「晩年になって突然詩体を変え、その詩には風骨がはっきりと表れている」と評しています。

崔顥の代表作である「黄鶴楼」は、唐代の七言律詩の中でも最高傑作の一つとして高く評価されています。伝説によると、後に詩人の李白が黄鶴楼に登った際、壁に書かれた崔顥の詩を読み、「この詩を超える詩は作れない」と感嘆したと伝えられています。李白は後に、崔顥の「黄鶴楼」を意識して「登金陵鳳凰臺」という七言律詩を詠んでおり、両者の作品を比較してみるのも興味深いでしょう。

著名な作品

黄鶴楼

参考文献

辛文房『唐才子伝』巻1
植木久行『唐詩物語　名詩誕生の虚と実と』（大修館書店、2002年）

関連項目

黄鶴楼

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