嵐芳三郎 (5代目)

五代目嵐芳三郎について

五代目嵐芳三郎は、1907年に東京の上野で生まれ、歌舞伎の世界で輝かしいキャリアを築いた著名な俳優です。彼の名は歌舞伎の歴史と深く結びついており、作品や演技において高い評価を受けてきました。彼の本名は寺田勝次であり、市川家から受け継いだ俳名は橘丈です。また、屋号は豊島屋として知られています。

早年のキャリア

芳三郎は、本郷元町尋常小学校を卒業した後、1914年に本郷座において「三代目嵐市太郎」として初舞台を踏みました。この時期には、五代目市川鬼丸（後の三代目尾上多賀之丞）の弟子として修業を重ねました。彼の才能は早くから注目を集め、1921年には市村座に参加。その後、1927年6月に五代目嵐芳三郎を襲名しました。

栄光の舞台と受賞歴

芳三郎は、女形や二枚目役を得意とし、特にその美しさと表現力で観客を魅了しました。晩年になると役柄は老け役へと変わり、幅広い演技で観客に感動を与えました。彼の才能は高く評価され、1954年には文部省芸術祭奨励賞を受賞し、その栄光を証明しました。

家族と後進への影響

芳三郎の家族も歌舞伎界での地位を築いています。長男の六代目嵐芳三郎、次男の嵐圭史、四男の麦人（声優）、長女の寺田路恵（女優）、次女の広瀬節子（シャンソン歌手）など、彼の血を引く者たちはそれぞれの分野で活躍しています。また、孫にあたる六代目河原崎國太郎も歌舞伎界で名を馳せています。

晩年と遺産

晩年の芳三郎は、1977年に77歳の生涯を終えました。彼の墓所は台東区一乗寺にあり、戒名は「前勝院技能日芳居士」として知られています。彼の業績や影響は、今もなお歌舞伎界に息づいており、多くの人々にその存在感を伝え続けています。

五代目嵐芳三郎は、歌舞伎の伝統を受け継ぎ、時代を超えて多くのファンに愛される存在でした。彼の卓越した演技力と豊かな表現力は、歌舞伎の新たな可能性を示すものであり、後世への大きな遺産として刻まれています。

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