川原神社 (伊勢市)

川原神社について

川原神社（かわらじんじゃ）は、三重県伊勢市に位置する、伊勢神宮皇大神宮（内宮）の摂社です。この神社は、伊勢神宮の摂社の中で第20位にあたります。主祭神は月読尊御魂（つきよみのみこと）で、日本神話において月の神として広く認知されています。この神社は特に宮川の守護神ともされ、地元の人々に深く親しまれています。

鎮座地の歴史

川原神社は宮川の東岸、佐八町に鎮座しています。この「佐八」という地名は「沢地」を意味し、昔この周辺に宮川の沢が存在したことを示唆しています。また、佐八町から内宮へと稲を供進した記録も残されています。社名については、歴史的な資料に「河原神社」と記されているほか、地域住民からは「センズイ」や「オダゴ」、「ヤグラ」などの愛称でも呼ばれていました。

境内の特徴

境内の面積は約3,219平方メートルで、豊かな自然に囲まれています。古木に覆われた庭には、ヒノキやクスノキなどの樹木があり、その木漏れ日の中で静かな独特の雰囲気を醸し出しています。鳥のさえずりや川のせせらぎが響く中、参拝者は穏やかなひとときを享受できます。

祭神と信仰

祭神である月読尊御魂は、月読宮や月夜見宮でも祀られており、特に水との関連が深いとされています。このため、川原神社では川の神としての側面も重視されています。また、川原神社と月読宮は共通の祭神を持つだけでなく、歴史的に見ても両社の鎮座地は荒木田氏を通じて結びついていたと言われています。

歴史的背景

川原神社は古くからの伝承に登場します。倭姫命が大若子命に迎えられ、船で宮川を下ったというエピソードがあります。また、創建については『延喜式神名帳』の成立以前、つまり927年以前に創建されたとされています。歴史的には、戦国時代に一度祭祀が途絶え、社地も荒廃しましたが、寛文3年（1663年）に河邊精長によって再興されました。再興時に社殿が建てられ、古い伝承や地名を参考にされています。その後、1908年に社殿が建て替えられ、1960年には再び造り替えられました。

祭祀の行事

川原神社では、祈年祭や月次祭（6月・12月）、神嘗祭や新嘗祭など、さまざまな行事が行われています。これらの祭りでは神職が社前で御饌や幣帛を奉納し、参拝者を迎えます。また、歳旦祭などの際には内宮の五丈殿で遥祀が行われます。

アクセス

川原神社は三重県道22号伊勢南島線から奥へ少し入った森林の中に位置しています。アクセス方法としては、三重交通バスの「佐八」バス停から徒歩で約12分の距離にあります。最寄りの伊勢市駅からは約5.5キロメートル離れており、自然の中を散策しながら訪れることができます。

川原神社は、歴史的な価値だけでなく、自然に囲まれた癒しのスポットとしても魅力的な場所です。訪れることで、静寂な空間と豊かな自然の中で心を落ち着けることができるでしょう。

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