川喜多雄二

川喜多雄二：歯科医から俳優へ、そして華麗なる映画人生

川喜多雄二（本名：脇猷二）は、1923年11月22日、満州の奉天で誕生しました。父が満州鉄道病院の歯科医だったことから、幼少期を中国で過ごしました。東京歯科大学を卒業後、父の後を継いで歯科医の道を歩み始めます。しかし、彼の運命は、画家・岩田専太郎との出会いをきっかけに大きく変わります。

岩田専太郎の知遇を得た川喜多は、青柳プロダクションに入社。市川崑監督作品『夜来香』（1951年）で俳優デビューを果たします。当初の芸名は「川喜多小六」でした。その後、1952年に松竹に移籍し、「川喜多雄二」に改名。本格的な俳優としてのキャリアをスタートさせます。

1950年代後半から1960年代前半にかけて、川喜多雄二は数々の松竹映画に出演し、その活躍ぶりは目覚ましいものがありました。佐田啓二（中井貴一の父）、高橋貞二らとともに「新・松竹三羽烏」と称され、人気を博しました。軽妙洒脱な演技で観客を魅了し、多くの作品で重要な役割を担いました。代表作には『君の名は』『この世の花』シリーズなど、数々の名作が挙げられます。これらの作品で、彼は個性的なキャラクターを演じきり、観客に深い印象を与えました。

しかし、1960年代後半には俳優業を引退。歯科医の道に戻りました。俳優としての華やかな時代は、歯科医という本業とは異なる、ある意味で「脇道」だったのかもしれません。それでも、彼が俳優として残した足跡は、日本の映画史に刻み込まれています。彼の演技は、多くのファンに今も記憶されています。

2011年5月9日、川喜多雄二は87歳で永眠しました。青山霊園に眠る彼は、華やかな俳優生活と、歯科医としての堅実な人生という、二つの顔を持つ人物として、人々の記憶に生き続けています。

芸能一家と繋がる広がる縁

川喜多雄二の私生活にも注目すべき点があります。彼の妻・チズ子（鹿毛チヅコ）の妹は、劇団四季の女優・影万里江です。さらに、妻の弟は元NHKアナウンサーの小谷伝、妻の姪（小谷伝の娘）はキャスターの小谷真生子と、芸能界、そしてメディア界にまで繋がる、華麗なる親族関係を持っていました。

代表的な出演作品

川喜多雄二の出演作品は多岐に渡ります。映画、テレビドラマ双方で数多くの作品に出演しました。以下はその一部です。

映画

『夜来香』（1951年、新東宝、市川崑監督）
『盗まれた恋』（1951年、新東宝、市川崑監督）
『君の名は』（1953年、松竹）
『この世の花』（1955年、松竹）
『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』（1954年、松竹）
『大学は出たけれど』（1955年、松竹、野村芳太郎監督）
『黒い乳房』（1960年、新東宝）
その他多数の松竹映画作品

テレビドラマ

『父ありき』（1958年、KRT（現・TBS））
『鉄人28号』（1960年、日本テレビ）
『検事』（1961年 - 1963年、フジテレビ）
『鉄道公安36号』（NET（現・テレビ朝日））
『特別機動捜査隊』（NET）
『素浪人 月影兵庫』（NET）
『土曜日の虎』（TBS）
『ザ・ガードマン』（TBS）
* その他多数のテレビドラマ作品

川喜多雄二は、歯科医としての堅実な人生と、俳優としての華麗な人生、そして多彩な親族関係という、多面的な人生を送りました。彼の残した作品は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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