川崎鶴見臨港バス浜川崎営業所

川崎鶴見臨港バス株式会社の浜川崎営業所は、神奈川県川崎市川崎区鋼管通五丁目3-23に所在します。主に川崎市川崎区の新川通りより南側の地域と、横浜市鶴見区の東海道本線より東側の地域におけるバス路線を担当しています。営業所を示す記号は「H」です。営業所への最寄りバス停留所は「浜川崎営業所」または産業道路沿いに設置されている「JFE前」です。

沿革

浜川崎営業所は、川崎鶴見臨港バスの営業所の中でも特に古い歴史を有しています。

前史

その起源は、1924年（大正13年）に伊藤喜代司氏が設立した大島自動車商会に遡ります。同社は川崎駅と大島四ツ角間で川崎区初のバス運行を開始しました。この路線は後に大師まで延伸され、現在の川23系統へと繋がっています。1927年（昭和2年）1月30日、大島自動車商会は川崎乗合自動車へと改組され、事業規模を拡大しました。この川崎乗合自動車の営業所が、現在の浜川崎営業所の出発点と言えます。

一方、鶴見地区では、1937年（昭和12年）11月30日に鶴見臨港鉄道の軌道線が廃止され、翌12月1日にバスへ転換されました。これに伴い、同年11月18日にはバス専業の子会社として鶴見川崎臨港バスが設立され、翌1938年（昭和13年）5月1日に事業を引き継ぎました。

同年12月1日、鶴見川崎臨港バスは川崎乗合自動車を合併し、「川崎鶴見臨港バス」に社名を変更しました。この際に川崎出張所、古川通営業所、鶴見営業所の三つの拠点が設けられました。川崎乗合自動車に由来する川崎出張所は、1940年（昭和15年）12月に現在の鋼管通へ移転し、「浜川崎営業所」と呼ばれるようになります。この時期、川崎市営交通はまだ存在せず、川崎区内の多くのバス路線は臨港バスが運行していました。第二次世界大戦中も、陸上交通事業調整法の統合対象外とされ終戦を迎えますが、戦局悪化により路線の多くが休止に追い込まれました。1944年（昭和19年）には、川崎市がバス路線の代替として路面電車事業への参入を決定しました。

戦後

1945年（昭和20年）4月15日の川崎大空襲により、川崎区は壊滅的な被害を受け、市電、臨港バスともに通常運行が不可能になりました。臨港バスの復旧は遅れ、被害の大きかった古川通営業所と浜川崎営業所は、それぞれ川崎営業所駅前支所、川崎営業所として復旧し、「浜川崎営業所」の名称は一旦なくなります。

1948年（昭和23年）12月、京浜急行電鉄が臨港バスの株式を取得し経営に参加しました。この際、京急が設立当初から保有していた「川崎住宅線」の扱いが課題となります。最終的に京急の意向もあり、この路線は臨港バスが引き継ぎ、当営業所の「京町循環線」（川28系統）へと発展します。

1954年（昭和29年）7月10日、現在の鋼管通に新たな営業所の開設が認可されました。翌1955年（昭和30年）、輸送力強化のため営業所体制が見直され、駅前支所は神明町へ移転して神明町営業所となり、一方の川崎営業所は「浜川崎営業所」と改称され、現在の川崎鶴見臨港バス浜川崎営業所が正式に発足しました。

現行路線

当営業所は、川崎駅東口や鶴見駅東口を発着する多岐にわたる路線を運行しています。

川24系統（鋼管循環線）・川28系統（京町循環線）: 川崎駅東口を中心に、鋼管通りや京町通りを循環する主力路線です。川24は追分経由、川28は京町経由で、富士電機前で系統番号が入れ替わります。川崎住宅線を起源とする歴史を持ち、運行本数も多く設定されています。一部には市電通りを経由する南町経由便や、ダイエー川崎プロセスセンター発着便も存在します。平日朝夕には急行便も運行されます。
川25系統（富士電機線）・川26系統（富士電機循環）・川29系統（入船橋循環線）: 川崎駅東口から産業道路やゴム通り方面へ向かう路線群です。川26・29は循環路線で、川29は川26の逆回りですが、一部狭隘路を通過するため経路が異なります。川25は循環区間の一部を短縮した系統です。川崎駅近くの小田踏切停留所は、JR南武支線と交わる特徴的な位置にあります。一部区間は横浜市内運賃区間となります。ヨコハマアイランドガーデンや日興スクエア、東芝京浜への支線や、平日朝夕の急行便も運行されています。かつては八丁畷や下並木を経由するルートがメインでしたが、第一京浜経由が主体となり、旧経路は廃止されました。
川27系統（日清製粉線）: 大川町地区へ乗り入れる唯一の路線バスです。JR鶴見線大川支線の運行本数が少ないため、この地域の重要な交通手段となっています。大川町内はループ状に運行する特徴的な経路を持ちます。
川30系統（芦穂橋線）: 川崎駅東口から八丁畷、京町を経て鶴見駅東口を結ぶ路線です。川崎駅前-小田二丁目間は川28と、栄町公園-鶴見駅東口間は鶴09と同一経路を通り、川崎・鶴見両駅を結ぶ系統の一つです。川崎市内運賃区間と横浜市内運賃区間を跨ぎます。
鶴08系統（ふれーゆ線）: 鶴見駅東口より汐鶴橋通りを経由し、「ふれーゆ」（横浜市の施設）へ向かう路線です。沿線の工場通勤や横浜市立大学鶴見キャンパスへの通学、かつての東京ガス環境エネルギー館へのアクセスも担っていました。全区間が横浜市内運賃区間です。
鶴09系統（ヨコハマアイランドガーデン線）: 鶴見駅東口より汐鶴橋通りやゴム通りを経由し、ヨコハマアイランドガーデンへ向かう路線です。2004年に新設され、横浜市営バス128系統と同日開業しました。鶴見駅東口方面から平安町栄町公園通り沿線への利便性を確保しています。全区間が横浜市内運賃区間です。

この他、川崎競馬場での競馬開催日などに川崎駅前～川崎競馬場間を運行する川崎競馬場線（運賃無料、塩浜営業所と共管、かつては京急バスと共同運行）や、川崎駅前と川崎病院をノンストップで結ぶ短距離路線である川崎病院線（川崎市バスと共同運行、運賃100円、専用のEVバスも運行）も担当しています。

移管・廃止路線

過去には、川21系統（水江町線）、川22系統（三井埠頭線）の一部便を担当していましたが、現在は塩浜営業所の単独所管となっています。また、高速路線の川崎木更津線や横浜東扇島線も、過去に神明町営業所との間で担当営業所の移管が行われた経緯があります。

廃止された路線としては、羽田空港と川崎大師を結んだ空81系統（京急バスと共管）、川崎駅と蒲田駅を結んだ蒲田線（京急バスと共管）、かつて別経路で運行されていた川27・川29系統の一部、ワイルドブルーヨコハマへの急行便、早朝に運行されていた川25系統南町経由便などがあります。また、特定の期間に運行された京浜臨海部産業観光巡回バスや、川崎競輪場への川崎競輪場線（市バス・他営業所と共管）も、現在は運行終了または移管されています。

車両

かつては沿線に日野車体工業があった関係から、長らく日野自動車製の車両が多く導入されていましたが、日野車体工業の移転に伴い、臨港バス全体の車両導入方針が変更されました。1999年までは大型の日野ブルーリボンが中心でしたが、2000年以降は中型の日野レインボーHRへシフトしました。2007年からは、川崎市に本社を置く三菱ふそうトラック・バスが新たな指定メーカーとなり、以降は三菱ふそうエアロスターの導入が進んでいます。日野製一般路線車の導入は減少傾向にあり、古い車両は代替が進みました。現在は原則としてノンステップのAT車が中心です。

過去には高速バス車両や貸切バス車両も配置されていましたが、2011年4月に神明町営業所へ移管されました。川崎病院線には専用の中型車が充当されており、EVバスである1H514号車や、いすゞエルガミオのディーゼル車が運行されています。

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