産業観光

産業観光とは

産業観光は、歴史的・文化的な価値を持つ工場、機械などの産業文化財や産業製品を通じて、ものづくりの心に触れることを目的とした観光です。英語では「Industrial tourism」と訳され、日本では東海旅客鉄道の初代会長である須田寛氏が提唱しました。

産業観光の歴史と背景

産業観光の先駆けは、1980年代に産業遺産の保護を制度化したイギリスです。産業革命発祥の地であるイギリスでは、遺産の保護と同時に、観光資源としての活用も模索され、ヘリテージツーリズムとして具体化されました。ドイツでは、工場見学が社会科見学の一環として定着しており、フランスではワイナリー見学が人気を集めています。

日本では、2004年の『観光立国推進戦略会議報告書』で産業遺産の活用が提唱され、2008年には観光庁が発足し、産業観光が国策として推進されるようになりました。国土交通省や経済産業省も、産業遺産の地域振興への活用を推進しており、石見銀山遺跡、富岡製糸場、明治日本の産業革命遺産などが世界遺産に登録されたことも、産業観光への関心を高める要因となっています。

日本における産業観光の現状

特に愛知県を中心とする東海地方は、製造業が盛んな地域であり、様々な分野のものづくりを体験できるため、産業観光が活発です。しかし、工場見学には危険を伴う場所や企業秘密に関わる部分があるため、見学コースの整備など、受け入れ体制の整備に費用がかかるという課題もあります。

主な産業観光施設

産業観光施設は、全国各地に点在しており、それぞれの地域で独自の産業文化を体験できます。以下に、主な施設を地域別に紹介します。

北海道

サッポロビール博物館（札幌市）
北海道鉄道技術館（札幌市）
雪印乳業資料館（札幌市）
ニッカウヰスキー余市蒸溜所（余市町）

東北

史跡 [[尾去沢鉱山]]（秋田県鹿角市）
小坂鉱山事務所（秋田県小坂町）
ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所（宮城県仙台市）
リカちゃんキャッスル（福島県田村郡小野町）

関東

NHKスタジオパーク（東京都渋谷区）
NHK放送博物館（東京都港区）
ニコンミュージアム（東京都港区）
ヤマトグループ歴史館（東京都港区）
恵比寿麦酒記念館（東京都渋谷区）
印刷博物館（東京都文京区）
石川島資料館（東京都中央区）
IHIものづくり館「アイミューズ」（東京都江東区）
オカムラいすの博物館（東京都千代田区）
たばこと塩の博物館（東京都墨田区）
郵政博物館（東京都墨田区）
NTT技術史料館（東京都武蔵野市）
サントリー武蔵野ビール工場（東京都府中市）
日野オートプラザ（東京都八王子市）
オリンパス技術歴史館「瑞古洞」（東京都八王子市）
キリン横浜ビアビレッジ（神奈川県横浜市）
電気の史料館（神奈川県横浜市）※休館中
三菱みなとみらい技術館（神奈川県横浜市）
日産エンジン博物館（神奈川県横浜市）
東芝未来科学館（神奈川県川崎市）
いすゞプラザ（神奈川県藤沢市）
もの知りしょうゆ館（千葉県野田市）
ホンダコレクションホール（栃木県茂木町）
おもちゃのまち[[バンダイミュージアム]]（栃木県壬生町）
月夜野びーどろパーク（群馬県みなかみ町）
製粉ミュージアム（群馬県館林市）

中部

あいち航空ミュージアム（愛知県豊山町）
MRJミュージアム（愛知県豊山町）
碍子博物館（愛知県小牧市）
あま市七宝焼アートヴィレッジ（愛知県あま市）
博物館明治村（愛知県犬山市）
瀬戸蔵ミュージアム（愛知県瀬戸市）
マスプロ美術館（愛知県日進市）
トヨタ博物館（愛知県長久手市）
トヨタ会館（愛知県豊田市）
トヨタ産業技術記念館（愛知県名古屋市）
ノリタケの森（愛知県名古屋市）
リニア・鉄道館（愛知県名古屋市）
ネックス・プラザ（愛知県名古屋市）
ブラザーミュージアム（愛知県名古屋市）
貨幣・浮世絵ミュージアム（愛知県名古屋市）
でんきの科学館（愛知県名古屋市）
エルモ社歴史館（愛知県名古屋市）
正村竹一資料館（愛知県名古屋市）
有松・鳴海絞会館（愛知県名古屋市）
ガスエネルギー館（愛知県東海市）
カゴメ記念館（愛知県東海市）
鍛造技術の館（愛知県東海市）
MIZKAN MUSEUM（愛知県半田市）
國盛 酒の文化館（愛知県半田市）
半田赤レンガ建物（愛知県半田市）
醸造「伝承館」（愛知県知多郡武豊町）
INAXライブミュージアム（愛知県常滑市）
FLIGHT OF DREAMS（愛知県常滑市）
盛田味の館（愛知県常滑市）
高浜市やきものの里かわら美術館・図書館（愛知県高浜市）
九重みりん時代館（愛知県碧南市）
八丁味噌の郷（愛知県岡崎市）
三菱オートギャラリー（愛知県岡崎市）
内藤記念くすり博物館（岐阜県各務原市）
名鉄資料館（岐阜県可児市）
ちこり村（岐阜県中津川市）
タミヤ歴史館（静岡県静岡市）
キリン富士御殿場蒸留所（静岡県御殿場市）
ヤマハ来客会館（静岡県浜松市）
スズキ歴史館（静岡県浜松市）
ミキモト真珠島（三重県鳥羽市）

関西

安藤百福発明記念館 大阪池田（大阪府池田市）
サントリー山崎蒸溜所（大阪府島本町）
パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館（大阪府門真市）
カワサキワールド（兵庫県神戸市）
UCCコーヒー博物館（兵庫県神戸市）
アシックススポーツミュージアム（兵庫県神戸市）
竹中大工道具館（兵庫県神戸市）
ブルワリーミュージアム（兵庫県伊丹市）
京都鉄道博物館（京都府京都市）
ヤンマーミュージアム（滋賀県長浜市）

中国・四国

マツダミュージアム（広島県広島市）
かまぼこ歴史館（山口県宇部市）
UBE-i-Plaza（山口県宇部市）

九州・沖縄

北九州イノベーションギャラリー（福岡県北九州市）
北九州次世代エネルギーパーク（福岡県北九州市）
白島国家石油備蓄基地広報展示館（福岡県北九州市）
わかちく史料館（福岡県北九州市）
門司電気通信レトロ館（福岡県北九州市）
門司赤煉瓦プレイス（福岡県北九州市）
玄海エネルギーパーク（佐賀県玄海町）
三菱重工業長崎造船所史料館（長崎県長崎市）

注意事項

産業観光施設によっては、事前の申し込みや入場料が必要となる場合があります。詳細は各施設に問い合わせください。また、企業博物館も産業観光の重要な要素です。

まとめ

産業観光は、ものづくりの歴史や文化に触れ、産業に対する理解を深めることができる貴重な機会です。全国各地に存在する産業観光施設を訪れ、それぞれの地域が持つ独自の産業文化を体験してみてはいかがでしょうか。

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