川田正子

川田正子

川田正子（かわだ まさこ）は、1934年7月12日に東京で生まれ、2006年1月22日に71歳で亡くなった日本の童謡歌手です。

生涯の歩み

幼い頃から妹とともに児童合唱団「音羽ゆりかご会」に入会し、童謡作曲家であり後に継父となる海沼實に師事しました。そこで彼女の歌唱の才能が大きく花開きました。

戦中から戦後にかけて、彼女は日本の童謡界を代表する存在となりました。「かわいい魚屋さん」をはじめ、「里の秋」や「みかんの花咲く丘」、「とんがり帽子」など、数多くの童謡や唱歌を歌い上げ、その歌声は広く親しまれました。1943年には唱歌コンクールでの入賞、1945年には後の紅白歌合戦の前身番組への出演など、早くから活躍を見せています。

1947年、変声期を迎えたため、師の助言により一時的に歌手活動を休止しました。この際、母の配慮により「進学のため」という理由が公表されました。その後、音楽大学で声楽を学び、卒業後には恩師海沼實から音羽ゆりかご会世田谷支部の指導を任され、後進の育成に力を注ぐようになります。同時に、成人童謡歌手としても再びマイクを握りました。

1958年に結婚。1979年には、病を患った母のために音羽ゆりかご会の主要メンバーと共に「森の木児童合唱団」を新たに立ち上げ、指導者としての活動を続けます。歌手としてだけでなく、子供たちの歌の指導者としても多くの実績を残しました。

歌手生活を通じて、節目の年には記念コンサートを精力的に開催しました。40周年（1983年）、45周年（1987年）、50周年（1993年）、55周年（1996年）、60周年（2001年）と長期にわたり歌の道を歩み続けました。1991年には日本童謡協会より童謡賞特別賞を受賞しています。1985年には久々にオリジナル新曲を発表するなど、晩年まで活動的でした。

2006年1月22日、前日に行った長崎でのコンサートが最後の舞台となりました。その夜、自宅で急逝し、71歳の生涯に幕を閉じました。まさに童謡と共に生きた人生でした。

主な代表曲

かわいい魚屋さん
兵隊さんの汽車（「汽車ポッポ」の原曲）
里の秋（1945年）
みかんの花咲く丘（1946年）
* とんがり帽子（1947年、NHKラジオドラマ『鐘の鳴る丘』主題歌）

その他

一部のレコードやCDでは、「川田正子とシンギング・バンビーナ」名義で歌唱がクレジットされているものがあります。また、彼女の人生の一部はドラマ化され、石井心愛によって演じられたこともあります。海沼實による関連書籍も出版されています。

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