巽会

巽会（たつみかい）について

巽会は、日本の自由民主党（自民党）内に存在する派閥で、旧名は一陽会です。この派閥は主に村上派として知られ、かつては水田派とも呼ばれていました。派閥の歴史は1965年に始まり、それは当時の大野伴睦が率いる睦政会が、彼の死去後に分裂した結果生まれました。

歴史的背景

大野伴睦の死後、彼が率いていた睦政会は、船田中の一新会（船田派）と村上勇の一陽会（村上派）に分かれました。この分裂後、両派閥は佐藤政権下で小派閥としての立場を痛感し、何度も再統合の話し合いがもたれましたが、実現することはありませんでした。

1971年になり、村上派は船田派に属していた水田三喜男を次の総理総裁候補として位置づけることにしました。水田はその後、大蔵大臣や自民党政調会長などの重要ポストを歴任し続けましたが、船田派内での彼の立場は次第に居心地の悪さを増していきました。こうした状況から、両派閥の思惑が一致し、最終的に1971年12月27日に水田を会長とする巽会が設立されました。巽会は村上派を母体とし、船田派からも水田、その他数名の議員が合流しました。

組織と衰退

設立当初、巽会は衆議院議員17名、参議院議員3名が所属する中間派としての存在感を示しましたが、田中政権時代に入り、日中国交回復を巡って江崎、田村元と中川が対立する事態が発生しました。水田がこの対立を調整できず、不満を抱く議員たちが脱退することにつながりました。また、水田が所属議員への資金配分に熱心でなかったため、さらに脱退者が増える結果となりました。

1976年には、三木おろしと呼ばれる政治運動に際して水田派として反三木派の挙党協に参加しました。しかし、同年末に水田が死去した後、巽会は村上を中心にした組織運営に移行しました。ただし、その後は派閥としての機能は薄れていき、他の派閥に分散・吸収されることとなりました。

巽会の主要議員

巽会には以下の国会議員が所属していました。

• - 一陽会系

- 村上勇
- 稲村左近四郎
- 大野明
- 神田博
- 佐藤文生
- 田村元
- 徳安実蔵
- 原田憲
- 福田篤泰
- 三原朝雄

• - 一新会系

- 水田三喜男
- 中川一郎
- 中山正暉
- 青木正久

• - 愛正会系

- 江﨑真澄
- 田村良平
- 永田亮一

• - その他

- 鹿島俊雄

参考文献

この派閥の詳細な歴史については、足立利昭の著書『ザ・自民党―長期政権の秘密』や斉藤剛の『大蔵大臣・水田三喜男―その生涯を時代と共に綴る』などに詳しい内容が紹介されています。巽会は、自民党内でも特異な経緯を持つ派閥として、今後も研究の対象となりそうです。

もう一度検索