市川寿三郎

市川寿三郎の生涯と業績

市川寿三郎（いちかわ じゅさぶろう）は1905年3月1日、佐賀県に本名の古賀辰雄として生まれました。彼は日本の映画史に名を刻む剣戟俳優の一人として、主に昭和初期に活躍しました。寿三郎は最初は澤村勇（さわむら いさむ）という名前で俳優活動を始め、澤村宗之助に師事しました。

映画キャリアの始まり

1926年、東亜キネマ等持院撮影所に入社し、長尾史録監督の作品『熊野路』で俳優デビューを果たします。この作品を皮切りに、寿三郎はその後の映画業界において重要な存在となります。1927年には後藤秋声監督による『砂絵呪縛』に森尾重四郎役で出演し、その演技力を評価されることとなります。この役が彼のキャリアの転機となり、その後主役級の俳優として成長していきました。

1928年には石田民三監督の作品において主演を務め、その名声をさらに高めます。特に『侠恋巴草紙』や『雁帰来』では、観客に強い印象を残しました。この頃から彼の存在は映画界の重要な一翼となっていきました。

プロダクションの移籍

彼のキャリアは順調に進んでいきましたが、1929年には市川右太衛門プロダクションに移籍し、市川右太衛門の脇役として出演するようになります。この時期には様々な役に挑戦し、演技力を磨いていきました。

1930年には、一時東亜キネマ京都撮影所に復帰しますが、脇役としての起用が続きました。その後1931年には嵐寛寿郎が設立したプロダクションに参加し、再び脇役を務めることとなります。

極東映画の設立と主役復帰

1935年には極東映画（後の極東キネマ）の設立に関わり、この頃から再び主役を演じる機会が増えました。特に1941年に撮影された『決戦奇兵隊』では、丸根賛太郎監督のもとで演技を見せました。ここから彼の女優業を再び盛り上げようとする意欲が伺えます。

終焉と影響

残念ながら、1941年以降の寿三郎に関する詳細な記録は残っていませんが、戦争末期に彼が亡くなったことが伝えられています。市川寿三郎は、当時の日本映画に多大な影響を与え、彼の演技や存在感は今も多くの映画ファンによって記憶されています。

おもなフィルモグラフィ

• - 『熊野路』 (1926年、監督：長尾史録)
• - 『砂絵呪縛』 (1926年、監督：後藤秋声)
• - 『侠恋巴草紙』 (1928年、監督：石田民三)
• - 『雁帰来』 (1928年、監督：石田民三)
• - 『一殺多生剣』 (1929年、監督：伊藤大輔)
• - 『清川八郎』 (1930年、監督：石田民三)
• - 『浪人の群』 (1930年、監督：広瀬五郎)
• - 『南国太平記』 第一篇・第二篇・双竜篇・爆発篇 (1931年、監督：山口哲平)
• - 『江戸育ち なりひら小僧』 (1932年、監督：仁科熊彦)
• - 『磯の源太 抱寝の長脇差』 (1932年、監督：山中貞雄)
• - 『決戦奇兵隊』 (1941年、監督：丸根賛太郎)

市川寿三郎の映画業界での足跡は、彼の個性的な演技が観客に深い印象を与え、多くの後進に影響を与えたことでしょう。彼の名は、今も映画史に刻まれています。

もう一度検索