広瀬五郎

広瀬五郎（ひろせ ごろう）

広瀬五郎は、1904年3月8日に生まれ、1972年8月16日に亡くなった日本の映画監督です。別名として広瀬正明という名前も使用していました。

生涯

1920年代初頭に帝国キネマ演芸に入社し、小坂撮影所で中川紫郎監督に師事しました。1922年、中川監督の『良弁杉』でチーフ助監督としてクレジットされたのが、彼の映画界での最初の足跡です。1924年には、嵐璃徳主演の『恋と武士道』で監督デビューを果たしました。

その後、師である中川監督が独立して中川映画製作所を設立すると、広瀬も同行しました。さらに、牧野省三が東亜キネマに撮影所を吸収された後、広瀬も等持院撮影所に移籍しました。牧野がマキノ・プロダクションを設立した後も東亜キネマに残り、1930年には松竹太秦撮影所へ移籍、その後松竹下加茂撮影所へと異動しました。1932年には新興キネマへと活躍の場を移しています。

1935年末には、牧野省三の長男であるマキノ正博が設立したマキノトーキー製作所に参加し、松田定次、久保為義、根岸東一郎らと共に監督部として名を連ねました。しかし、同社は1937年に解散。広瀬は新興キネマ京都撮影所を経て、今井理輔が設立した今井映画製作所に参加しました。今井映画崩壊後は、再び松竹下加茂撮影所に「広瀬正明」名義で戻り、数本の監督作品を手がけました。1941年には大都映画に移籍しています。

1942年、第二次世界大戦の影響により、38歳で映画界を引退しました。そして1972年8月16日、68歳で生涯を終えました。広瀬の最初の妻みねは、東亜キネマ時代に広瀬に師事した金田繁の妹であり、最後の妻しげは、1976年時点では大阪府池田市に在住していました。

フィルモグラフィ

広瀬五郎は、多くの作品で監督を務めました。以下に主な作品をまとめます。

帝国キネマ演芸小坂撮影所
1922年: 『良弁杉』 - 助監督
1924年: 『恋と武士道』
1924年: 『深山の父娘』
1924年: 『歓楽の贅』
1924年: 『潮田主水』
1924年: 『清水次郎長 第一篇』
1924年: 『蝙蝠安』
1924年: 『抜討権八』
1924年: 『神出鬼没』
1924年: 『夜明けまで』 - 監督・脚本
1925年: 『白刃閃く』
1925年: 『高杉晋作』
1925年: 『平井権八』 - 監督・脚本

中川映画製作所
1925年: 『橄欖の島へ』
1925年: 『室町御所』
1925年: 『通り魔』
1925年: 『生玉心中』 - 中川紫郎と共同監督

東亜キネマ
1925年: 『電光石火』
1926年: 『緑ケ丘の血刃』
1926年: 『哄笑の血達磨』
1926年: 『讐討乙女椿』
1926年: 『断末魔の復讐』
1926年: 『血路』
1926年: 『荒城の歌』
1926年: 『邪刃悪魔』
1926年: 『羽柴筑後守』
1926年: 『神影流』
1927年: 『大志』
1927年: 『獅子王丸』
1927年: 『侠勇』
1927年: 『阿修羅』
1928年: 『男伊達よ組の纏』
1928年: 『新版大岡政談 前篇 鈴川源十郎の巻』
1928年: 『新版大岡政談 中篇』
1928年: 『新版大岡政談 後篇』
1928年: 『武侠関東嵐』
1928年: 『高杉晋作』
1928年: 『風雲の彼方へ』
1929年: 『新説荒木又右衛門 前後篇』
1929年: 『夕凪城の怪火』
1929年: 『競艶刺青草紙』
1930年: 『天人お駒』
1930年: 『幕末浪人組』
1930年: 『幻の影を追ひて』
1930年: 『天狗騒動記』
1930年: 『刃影走馬燈 後篇』
1930年: 『浪人の群』

松竹キネマ
1930年: 『長兵衛と権八』
1930年: 『魔性剣』
1930年: 『大岡越前と天一坊』
1930年: 『火華の勘八』
1931年: 『最後の箆棒』
1931年: 『赤垣源蔵』
1931年: 『紅蝙蝠 第二篇 勇躍血戦の巻』
1931年: 『河童又介』
1931年: 『紅蝙蝠 第三篇 血涙戸並長八郎の巻』
1931年: 『刀の中の父』
1931年: 『郷土くずれ』
1931年: 『銭形平次捕物控 振袖源太』 - 監督・脚本
1931年: 『だんまり嘉助』 - 監督・脚本
1932年: 『足軽は強いぞ』
1932年: 『鬼火 前篇』
1932年: 『鬼火 後篇』
1932年: 『仁侠やくざ道』

新興キネマ
1932年: 『恋と十手と巾着切』
1933年: 『お富与三郎 恋の双六』
1933年: 『春雪女歌舞伎』
1933年: 『雪の肌蜻蛉組』
1933年: 『左門恋日記』
1934年: 『魂の影絵』
1934年: 『青空三羽鴉』
1934年: 『賭け剣術』
1935年: 『陽炎』
1935年: 『江戸の坩堝』
1935年: 『怪談津之国屋』

マキノトーキー製作所
1936年: 『女侠客奴の小万』
1936年: 『切られお富』
1936年: 『丹下左膳 乾雲必殺の巻 第一篇』 - 応援監督
1936年: 『丹下左膳 坤竜呪縛之巻』 - 応援監督
1936年: 『浅右衛門兄弟』
1936年: 『八州侠客陣』
1936年: 『裸の礫』
1936年: 『侠艶録』
1936年: 『舞扇』
1937年: 『竜虎槍騎隊 前篇』
1937年: 『瀧の白糸』

今井映画製作所
1937年: 『両越大評定』
1937年: 『旗本暗黒街』
1938年: 『鼠小僧初鰹』
1938年: 『女間諜』
1938年: 『五分の魂』

松竹下加茂撮影所（広瀬正明名義）
1938年: 『孝子の印籠』
1938年: 『満願の朝』
1938年: 『義士銘々伝 満顏の朝』
1939年: 『会津の娘達』
1939年: 『親恋道中』
1939年: 『千両判官』

大都映画（広瀬正明名義）
1941年: 『五人の看護婦』 - 中島宝三・佐伯幸三と共同監督


広瀬五郎は、その長いキャリアの中で、時代劇を中心に多岐にわたるジャンルの映画を監督しました。彼の作品は、日本の映画史において重要な位置を占めています。

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