市役所停留場

長崎電気軌道 市役所停留場

概要

長崎県長崎市魚の町にある長崎電気軌道の路面電車停留場、市役所停留場。駅番号は38と45で、桜町支線と蛍茶屋支線が接続する要衝です。2号系統、3号系統、4号系統、5号系統の路面電車が停車し、多くの乗降客で賑わいます。全国に多数存在する「市役所前停留場」とは異なり、「前」を付けない「市役所停留場」は、ここが唯一です。

歴史

市役所停留場の歴史は長く、現在の停留場ができる以前は、1920年（大正9年）に開業した古町停留場が存在していました。古町停留場は、桜町と馬町を結ぶ路線開通と同時に開業し、桜町から古町までの区間は、40パーミルの急勾配を誇る峠越えの難所でした。その後、築町方面への路線も延伸され、3方向への路線が接続する重要な停留場となりました。

しかし、1954年（昭和29年）、戦後の道路改良工事により、この峠越え区間は経路変更され、切通しによって国道との立体交差が実現しました。この工事により古町停留場は廃止され、現在の位置に停留場が移設されました。

当初は「桶屋町停留場」という名称でしたが、その後「公会堂前停留場」に改称されました。停留場前にあった長崎市公会堂の老朽化に伴い閉鎖された後、「市民会館停留場」へと改名されました。そして、2023年（令和5年）に新しい長崎市役所庁舎の完成を機に、「市役所停留場」と改称され、現在に至ります。

2020年（令和2年）7月1日からは、新地中華街停留場に加え、市役所停留場でも乗り換えが可能となりました。これは、観光客増加による新地中華街停留場の混雑緩和を目的とした措置です。

構造

市役所停留場は併用軌道上に位置し、長崎駅前方面と西浜町方面の2箇所にホームが設置されています。ホームは相対式で、桜町支線（3号系統）は長崎駅前寄りのホームを使用し、その他の系統は西浜町寄りのホームを使用します。かつては、3方向の軌道が接続するデルタ線を形成していましたが、脱線事故対策として現在は相互通行が不可能になっています。

2002年には、交通渋滞対策として、かつて設置されていた横断歩道橋が撤去され、乗り場も改修されています。また、全国相互交通系ICカードを利用した乗り継ぎでは、30分以内の乗り継ぎで2回目の運賃が無料となります（蛍茶屋方面への乗り継ぎを除く）。

脱線事故

市役所停留場の分岐部では、2007年以降、5回の脱線事故が発生しています。いずれも3号系統の蛍茶屋発赤迫行きの電車で、蛍茶屋方面から長崎駅前方面への右折軌道で発生しました。これらの事故を受けて、分岐部のレールの改良や曲線半径の拡大などの対策工事が行われています。

利用状況

長崎電軌の調査によると、1日の乗降客数は1998年が4,806人、2015年が3,300人と推移しています。

周辺

長崎市役所、長崎市民会館などの公共施設のほか、眼鏡橋も徒歩圏内にあります。また、旧線区間の一部は道路として現存し、古町交差点付近では往時の面影を残しています。

隣の停留場

まとめ

市役所停留場は、長崎市の発展と共に歩んできた歴史ある停留場で、現在も多くの市民や観光客に利用されています。複雑な歴史や幾度もの改称、そして脱線事故を乗り越え、進化を続ける停留場の様子を、この記事を通じて知っていただけたら幸いです。

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