市谷本村町

市谷本村町



市谷本村町（いちがやほんむらちょう）は、東京都新宿区の東部に位置する町名です。この地域は住居表示が実施されており、「丁目」は設定されていません。

地理



市谷本村町は、新宿区の牛込地域南東部に位置しています。北は市谷薬王寺町、市谷加賀町、東は市谷左内町、市谷八幡町と隣接し、南東部は旧江戸城外堀を隔てて千代田区五番町に接しています。南は靖国通りを挟んで四谷本塩町、四谷坂町、片町、西は外苑東通りを隔てて市谷仲之町と接しています。

この町域は比較的広いですが、その大部分は防衛省関連施設および警察関連施設が占めています。具体的には、防衛省本庁舎や関連施設、警視庁第五機動隊、警視庁特科車両隊などがあります。南西部には中央大学市ヶ谷キャンパスがあり、民家はほとんど見られません。北部には、かつて財務省や国立印刷局などの政府関連施設がありましたが、現在は一部を除き防衛省などが使用しています。

市谷仲之町交差点付近には、「ザ・センター東京」や「本村町レジデンス」といった高層賃貸マンションも存在します。南部の靖国通りと外堀通りに挟まれた地域には、ビルや商店の間に少数の民家が点在しています。

歴史



町名は、市谷の「本村」であったことに由来すると考えられています。1312年の鶴岡八幡宮文書には「市谷孫四郎」という人物が登場しており、この地域が鶴岡八幡宮の所領であったことが示唆されています。このことから、市谷亀岡八幡宮が勧請されたと推定されています。本村町は現在も市谷亀岡八幡宮の氏子区域です。

江戸時代、町域の大半は尾張徳川家の上屋敷でした。外堀通りの高力坂上から防衛省正門前に至る道路で分断された南西側の低地部分も、もともとは本村町の一部でしたが、1880年に四谷区に編入され四谷区本村町となりました。その後、四谷区の本村町は1943年に四谷塩町一丁目・七軒町と統合され、「本塩町」という合成地名になりました。1881年には市ヶ谷田町四丁目を編入しました。

河田町・富久町から流れる紅葉川という細流は、合羽坂を経て市谷見附付近で外堀に合流し、飯田橋方面へと流れていました。この流れが尾張藩邸の南縁となり、道路を挟んだ北側は御先手組屋敷と民地でした。関東大震災後の帝都復興事業で、旧紅葉川沿いの道路を拡幅して靖国通りが建設されました。しかし、この地域は軍用地に面した片側町であり、商業には不向きな地域であり続けました。

靖国通りと外堀通りに挟まれた地域は、民家が残るものの、外堀に面した片側町であり、江戸時代には辻斬りの噂が立つほど寂しい通りでした。外堀に沿って四谷見附へ向かう途中、本塩町の雪印乳業本社手前で大きくカーブする場所が高力坂で、旗本高力邸跡には「高力松」と呼ばれる名木が残っており、大正時代まで地域のシンボルとなっていました。

尾張藩邸跡一帯には、明治時代以降、陸軍士官学校が置かれていましたが、1937年に陸軍士官学校（本科）は座間（相武台）へ、1941年には陸軍予科士官学校も朝霞（振武台）に移転しました。その後、1941年12月には陸軍省、参謀本部、教育総監部、陸軍航空総監部などの省部が三宅坂一帯からこの地に移転し、大日本帝国の国防の中心地となりました。この地は「市ヶ谷台」とも呼ばれていました。

戦後、極東国際軍事裁判（東京裁判）が旧陸士大講堂で行われました。その後、この地は自衛隊の陸上・海上・航空それぞれの駐屯地・基地として現在まで使用されています。2000年には旧防衛庁が赤坂から移転し、2007年には防衛省に昇格し、市ヶ谷地区は日本の国防の中枢としての役割を担っています。

1970年には、三島由紀夫が東部方面総監部本館（旧陸士本部）のバルコニーで自衛隊員に決起を促し、総監室で割腹自殺を図るという事件（三島事件）が起こりました。1984年には、従前の町名町界を継承する形で住居表示が実施されました。

世帯数と人口



2023年1月1日現在の世帯数は1,796世帯、人口は2,705人です。

学区



区立小・中学校に通う場合の学区は以下の通りです。

交通



町域内には鉄道駅はありませんが、東部には各線の市ケ谷駅が、西部には都営新宿線の曙橋駅及び都営大江戸線牛込柳町駅が利用可能です。

都バスは、町域内に「防衛省前」「合羽坂下」「市谷仲之町交差点」の停留所があります。

事業所



2021年現在の事業所数は201事業所、従業員数は17,783人です。

施設




出身・ゆかりのある人物



  • - 守田保太郎（ラヂウム製薬社長）

その他



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