帰州

帰州（きしゅう）の歴史

帰州は、現在の湖北省宜昌市一帯に位置し、唐代から民国初年にかけて存在した行政区画です。その歴史は、唐の時代に始まり、元、明、清を経て中華民国に至るまで、名称や管轄地域を幾度も変えながら存続しました。

唐代の帰州

帰州は、619年（唐の武徳2年）に、それまで夔州に属していた秭帰県と巴東県が分離され、新たに設置されたことに始まります。翌620年には、秭帰県から興山県が分割されました。しかし、742年（天宝元年）には、帰州は巴東郡と改称されました。その後、758年（乾元元年）には再び帰州の名称に戻っています。この時期の帰州は山南道に属し、秭帰、巴東、興山の3県を管轄していました。

宋代の帰州

宋代に入ると、帰州は荊湖北路に属するようになります。管轄する県は唐代と同じく、秭帰、巴東、興山の3県でした。この時代も、帰州は地域行政の中心としての役割を果たしていました。

元代の帰州

1275年（至元12年）、帰州は元朝の支配下に入りました。1277年（至元14年）には一時的に帰州路に昇格しましたが、1279年（至元16年）には再び帰州に戻されました。元代の帰州は湖広等処行中書省に属し、引き続き秭帰、巴東、興山の3県を管轄しました。この時期、帰州は行政区画としての変動を経験しつつも、その地域における重要性は保たれていました。

明代の帰州

明朝が成立すると、1376年（洪武9年）に帰州は廃止され、秭帰県に編入されて夷陵州に属することになります。しかし、翌1377年（洪武10年）には秭帰県が長寧県と改称され、1380年（洪武13年）には長寧県が帰州に昇格します。この復活した帰州は荊州府に属し、興山と巴東の2県を管轄しました。この時期の帰州は、行政区画の再編と変化を経験したものの、地域における中心的な役割を担い続けました。

清代の帰州

清代に入ると、1735年（雍正13年）に帰州は宜昌府に転属しました。この時期の帰州は長陽、興山、巴東、長楽の4県を管轄下に置くようになります。このころの帰州は、行政組織の再編の中で、その管轄地域を拡大しています。

中華民国時代の帰州

1912年、中華民国が成立すると、帰州はその歴史に幕を閉じ、秭帰県と改称されました。これにより、唐代から続いた帰州という行政区画は姿を消すことになりました。

帰州は、その成立から廃止まで、様々な王朝の支配下で、幾度も名称や管轄地域を変えながら存続しました。その歴史は、中国の地方行政区画の変遷を理解する上で重要な事例と言えるでしょう。また、この地域の歴史や文化を語る上で、帰州の存在は不可欠です。

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