幌加温泉

幌加温泉とは

幌加温泉（ほろかおんせん）は、北海道河東郡上士幌町の山中に位置する温泉地です。大雪山系の懐深く、アクセスが容易ではない環境にあり、手つかずの自然に囲まれた秘湯として知られています。

温泉施設

現在、この地で営業している温泉施設は「幌加温泉湯元 鹿の谷温泉旅館」のみです。この旅館では、宿泊および日帰りでの入浴が可能です。

館内には、それぞれ異なる泉質を持つ三つの浴槽を備えた混浴の内風呂、開放的な混浴の露天風呂、そして女性専用の小さな内風呂が用意されています。これらの浴槽では、源泉かけ流し（一部加水）による良質な温泉を楽しむことができます。

かつては「ホロカ温泉旅館」も存在しましたが、前湯守の死去に伴い、2011年（平成23年）1月より休業しています。

泉質

幌加温泉は、多様な泉質が湧出していることが大きな特徴です。

鹿の谷: ナトリウム-塩化物泉、カルシウム-硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉という異なる四種類の泉質が湧出しています。これらの泉質を一つの施設で楽しめるのは稀有なことです。
ホロカ温泉（休業中）: ナトリウム-塩化物泉でした。

秘湯ならではの環境と設備

幌加温泉、特に鹿の谷温泉旅館は、現代社会から隔絶された独特の環境にあります。この地を訪れる際は、以下の点に注意が必要です。

通信手段: 携帯電話は全てのキャリアで圏外となります。ブロードバンドやWi-Fiサービスも提供されておらず、衛星通信などの特別な手段を除いてインターネットへのアクセスは通常不可能です。外部との基本的な連絡手段は、旅館の帳場に設置された一台のピンク電話に限られます。
テレビ: 2022年度に高利得アンテナが設置され、共用テレビ部屋で地上波放送の視聴が可能になりました。ただし、個室にはテレビはありません。
宿泊と食事: 宿泊は基本的に素泊まりのみで、旅館からの食事提供はありません。ただし、宿泊者向けの共用キッチンが完備されており、簡単な自炊を行うことが可能です。
食料品の入手: 最寄りの食料品店は非常に遠方にあります。北へ向かうと層雲峡にセイコーマートがあり約50km、南へ向かうと上士幌町内まで約40kmの距離があります。来訪前に必要な食料品や飲み物を十分に準備しておく必要があります。
ゴミの持ち帰り: この地域は自治体や産廃業者によるゴミ収集の対象エリア外のため、発生したゴミは全て利用者が責任を持って持ち帰らなければなりません。

これらの環境は、まさに「秘湯」と呼ぶにふさわしい静寂と非日常を求める旅行者にとっては魅力となる一方、事前の準備と心構えが重要となります。

歴史

幌加温泉の歴史は比較的新しいものです。

1946年頃: 温泉が開湯し、「鹿の谷」が開業しました。
1956年: 「ホロカ温泉」が開業しました。
2011年1月: 「ホロカ温泉」が休業しました。

交通アクセス

幌加温泉へのアクセスは容易ではありません。

車: 道東自動車道の音更帯広インターチェンジから約70kmの道のりです。
バス: 帯広駅から十勝バスを利用し、糠平営業所で下車後、タクシーに乗り換えて約20分です。または、帯広駅から都市間バス「ノースライナーみくに号」に乗車し、幌加温泉入口バス停で下車後、徒歩約15分で到着します。

いずれの交通手段でも、最寄りのバス停やインターチェンジから距離があるため、時間に余裕を持った計画が必要です。

人里離れた環境で、種類の異なる豊かな温泉に浸り、日常から完全に離れた時間を過ごすことができる幌加温泉は、真の温泉愛好家にとって特別な場所と言えるでしょう。

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