幕府お耳役檜十三郎

『幕府お耳役檜十三郎』は、1991年4月7日から6月30日までテレビ東京系列で放送された、松竹・テレビ東京製作の連続時代劇です。全13話で、徳川11代将軍・家斉の治世を舞台に、幕府内の不正を暴く隠密「お耳役」の活躍を描いています。

物語の中心となるのは、永島敏行演じる檜十三郎。彼は表向きは飛脚屋「紅屋」に居候し、恋文の代筆を生業とする穏やかな男ですが、その正体は、大目付に仕える隠密「お耳役」です。大目付の中でも総目付を務める京極丹波守は、その権力を笠に着て、金権と賄賂にまみれた悪行を重ねています。田ノ内伊織は京極の不正を暴くため、檜十三郎を放ちます。

十三郎は、鳥見役の竜崎又平（渡辺裕之）や渡り中間の新次（西川弘志）といった友人の協力を得ながら、京極の悪事を次々と暴いていきます。飛脚屋「紅屋」の女将・お富（松原智恵子）も十三郎に協力しますが、お染（沢村亜津佐）は十三郎がお耳役であることを知りません。十三郎は、持ち前の正義感と冷静な判断力、そして鍛えられた剣術を武器に、悪に立ち向かいます。

本作の魅力は、主人公・檜十三郎のキャラクターです。普段は飄々とした態度で、恋文の代筆など、いかにも平和な日常を送る男ですが、悪を目の前にすると、冷静沈着に、そして時には大胆に立ち向かう姿は、視聴者に爽快感を与えます。また、十三郎を取り巻く個性豊かなキャラクターたちも、物語に彩りを添えています。お富の温かい人柄や、又平と新次のコミカルなやり取りなど、見どころ満載です。

主要キャスト

檜十三郎：永島敏行
竜崎又平：渡辺裕之
新次：西川弘志
お富：松原智恵子
お染：沢村亜津佐
田ノ内伊織：財津一郎
京極丹波守：長門裕之
ナレーター：寺田農

スタッフ

原作：島田一男
監督：貞永方久、松野宏軌、高瀬昌弘、津島勝、井沢雅彦、岡屋龍一
* 脚本：吉田剛、いずみ玲、和久田正明、田村多津夫、加瀬高之、田上雄

主題歌は、大東めぐみの「長いお別れ」。

『幕府お耳役檜十三郎』は、勧善懲悪のストーリー展開と、個性的なキャラクターたちが織りなす人間ドラマが魅力の時代劇です。BSジャパンでは2016年3月7日より再放送されました。

なお、本作と同じ原作を用いた作品として、1976年に関西テレビ放送・歌舞伎座テレビが制作した『お耳役秘帳』があります。こちらも京都映画が実制作を手掛けています。

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