平之荘神社

平之荘神社

兵庫県加古川市平荘町山角の地に鎮座する平之荘神社は、「幣之宮（へいのみや）」という別称でも親しまれる歴史ある神社です。かつてこの地は印南荘の一部であり、古くから人々の信仰を集めてきました。

由緒と歴史

神社の創建は古く、社伝によれば和銅6年（713年）に紀州熊野権現より神霊を勧請したのが始まりと伝えられています。これは隣接する印南山報恩寺の開基と同時期にあたり、報恩寺の鎮守神として栄えました。建治元年（1275年）頃には「平の荘（または幣の荘）若一王子権現」と称されていたことが知られており、この名称は当地の荘園名に由来するものと考えられます。

中世には、播磨国の守護を務めた赤松則村が当社を深く崇敬しました。近世に入ると、姫路藩主池田家から代々にわたり朱印地として五石を寄進されるなど、手厚い保護を受けました。残念ながら、永正2年（1505年）の火災によって当時の社殿は焼失しましたが、貞享年間に再建されました。現存する最も古い修復に関する棟札には、享保18年（1733年）の記録が残されています。明治維新後の神仏分離を経て、明治2年（1869年）に現在の「平之荘神社」に改称され、明治6年（1873年）には郷社に列格されました。

神社の起源については異説も存在します。古文書「益氣物語」によれば、伊佐那岐尊・伊佐那美尊の二柱の神と天照大神を益氣の山にお祀りしたのが始まりで、平荘、志方荘、名古瀬荘の人々が崇敬したといいます。山火事の際に中山へ神々を遷座し、後に中山の宮を奥宮として、現在の平荘山角村の地に改めて大社を造営して信仰したことが、当社のはじまりであるとも記されています。

祭神

主祭神として平之荘大神をお祀りしています。これは建速素戔嗚尊であるとされていますが、古くは若一王子権現として信仰されました。この他、天照皇大神、保食大神、大国主大神、誉田別大神（八幡神）、子守大神、菅公（菅原道真公）といった多くの神々が合祀されています。境内には金刀比羅社があり、大物主神（金毘羅権現）を祀っています。

文化財

境内には、加古川市指定の貴重な有形文化財が二点あります。

神輿: 八角形高御座形式という特徴的な構造を持つ神輿で、内部から応安3年（1370年）の墨書きがある棟札が発見されています。鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて製作されたものと考えられます。
板碑: 石棺の側石を再利用して作られた板碑で、弘安2年（1278年）の銘が刻まれています。表面には弥陀三尊と釈迦三尊の種子が彫り込まれており、当時の仏教信仰を示す重要な資料です。

主な施設

現在の主要な社殿は、慶安元年（1648年）に再建された本殿、幣殿、拝殿です。特に、拝殿と本殿を結ぶ通路部分が独特な構造を持つ割拝殿も同年に建造されました。貞享5年（1688年）には能舞台が建てられ、古来より境内において能が奉納されていた歴史を伝えています。その他、神輿舎や神馬舎（文久年間）、随身門、社務所、手水舎などがあります。参道の常夜灯は天保13年（1842年）、鳥居は天保12年（1841年）の建立です。

祭事

平之荘神社では年間を通じて様々な祭事が斎行されています。

月次祭: 毎月1日に行われます。
夏季例大祭: 7月の海の日の前日に執り行われ、夏負けを防ぐとされる湯立て神事や、地域の人々による輪踊りが賑わいます。
秋季例大祭: 10月のスポーツの日の前日が本宮となり、勇壮な獅子舞の奉納、屋台練り、御旅所神事などが行われ、多くの参拝者で賑わいます。
国恩祭: 11年に一度、5月頃に近隣の神社合同で盛大に催される祭礼です。前回は2016年（平成28年）、次回は2027年に開催される予定です。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR加古川駅から神姫バス「都台」行きに乗車し、約20分で山角バス停に到着します。バス停から東へ徒歩約3分です。

周辺

神社の周辺には、隣接する高野山真言宗の古刹である印南山報恩寺をはじめ、岩佐岐稲荷、加古川市立平荘小学校、平荘郵便局、法華寺播磨別院などがあります。

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