平岡ダム

平岡ダム（ひらおかダム）

平岡ダムは、長野県下伊那郡天龍村の平岡地先に位置し、天竜川本川に建設された水力発電用の重力式コンクリートダムです。このダムは、長野県の最南端に位置し、高さは62.5メートルです。これは、戦前に計画され建設された天竜川水系のダムの中でも最大の高さを誇ります。

ダムの特性

平岡ダムに付設されている平岡発電所は、最大出力が101,000キロワットに達し、天竜川水系内の一般的な水力発電施設の中でも大規模なものとなっています。ダムの下流には佐久間ダムがあり、佐久間湖が形成されています。この湖は、平岡ダムから佐久間ダムまでの約33キロメートルの区間を形成しており、貯水容量は500万トン以上です。

また、平岡ダムが作り出すダム湖は人造湖であり、中部電力の管理下にはなく、国土交通省中部地方整備局の直轄となっています。上流側の川底に堆積している土砂の割合を示す堆砂率は、2003年12月31日の時点で84.8%という高い値を示しています。この数値は、同様のダムの中では最も高いものです。

ダムの歴史

平岡ダムの背景には、福澤桃介が関与した天竜川の水力電源開発事業があります。1935年、泰阜ダムの完成により、本格的なダム式発電所の建設が進められました。平岡地点にダムを建設し発電を行う計画は、1938年に策定され、この時期には電力の国家統制策が進展し、矢作水力は解散となりました。その後、日本発送電株式会社が事業を引き継ぎ建設が続けられました。

当時は太平洋戦争の真っ只中であり、工事には中国や朝鮮半島の人々、また連合国軍の捕虜が強制的に使役されました。戦後、日本発送電は過度経済力集中排除法に抵触し、1951年に分割・民営化されました。この時、中部電力株式会社が事業を継承し、平岡ダムはその年に完成を迎えました。

まとめ

平岡ダムは、長野県天龍村における重要な水力発電の要であり、その歴史や技術的特性が地域の電力供給に大きな影響を与えています。地域の環境や経済に貢献するダムとして、今後も益々の役割が期待されています。

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