平教子

平 教子（たいら の のりこ）

平教子（生没年未詳）は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて生きた女性で、女官として宮廷に仕えました。桓武平氏の流れを汲む伊勢平氏の出身で、父は平教盛です。彼女は、藤原範季の正室であり、後鳥羽天皇の寵妃として知られる藤原重子（修明門院）の母として、また順徳天皇の外祖母としても歴史に名を残しています。子には他に藤原（高倉）範茂がいます。最終的には従三位に叙せられました。

生涯

平教子は、はじめ播磨内侍と呼ばれ、従五位下の位を得て准后・平盛子に仕えました。この頃に藤原範季の正妻となったと考えられています。治承4年（1180年）に生まれた高倉天皇の第四皇子、後の後鳥羽天皇となる尊成親王は、範季邸に預けられ、教子夫婦が親王の養育にあたりました。寿永元年（1182年）には、娘である重子を産んでいます。

寿永2年（1183年）7月、平家一門は安徳天皇を奉じて都を離れ、父である教盛も一門と共に西へ向かいました。都では、安徳天皇に代わる新たな帝の選定が行われ、後白河法皇の意向により、範季・教子夫妻が養育していた4歳の尊成親王が擁立され、後鳥羽天皇として即位しました。

一ノ谷の戦いなどで、通盛や教経ら教子の兄弟の多くが討ち死にし、父の教盛も寿永4年（1185年）3月、壇ノ浦の戦いで安徳天皇や平家一門と共に海に身を投じました。

文治元年（1185年）には、範茂を産んでいます。娘の重子は、女房として内裏に仕えるようになり、後鳥羽天皇の寵愛を受け、建久8年（1197年）に守成親王、後の順徳天皇を産みました。後鳥羽天皇の寵愛は源在子から重子へと移り、守成親王は正治2年（1199年）4月に皇太弟に立てられました。教子は、建久の末年頃に内裏女房となり、典侍に任じられ、中納言典侍と呼ばれました。時期は不明ですが、従三位に叙せられています。元久年（1205年）5月には、夫である範季が死去しました。

承久3年（1221年）、鎌倉幕府と対立した後鳥羽上皇が倒幕の兵を挙げ、承久の乱が勃発すると、順徳上皇もこれに呼応しました。教子の息子の範茂は、倒幕側の中心勢力となり、上皇方が乱に敗北した後、幕府軍によって処刑されました。後鳥羽上皇と順徳上皇は、それぞれ配流の憂き目を見ました。

歴史学者の角田文衞は、順徳天皇が反鎌倉の意識が強かった背景には、平家の血を引く祖母である教子の元で育ち、周囲に平家関係者が多かったことが一因として考えられると指摘しています。

教子の没年は明らかではありませんが、嘉禄2年（1226年）7月にも生存していた記録が残っています。

参考文献

角田文衞『平家後抄〈上〉落日後の平家』 講談社学術文庫、2000年（1981年刊行）。

関連項目

平家物語

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