平業房

平業房（たいら の なりふさ）

平業房は、平安時代末期に後白河院の近臣として仕えた武士です。斎院司次官・平盛房の長男として生まれました。

生涯

業房は、今様を通じて後白河上皇の寵愛を受けるようになったとされています。今様とは、当時の流行歌であり、その才能を通じて上皇の目に留まったと考えられます。仁安2年（1167年）には衛門尉として建春門院家に仕え、同年2月には検非違使宣旨を受けました。仁安4年（1169年）には熊野御幸に供奉するなど、着実にキャリアを重ねていきました。

安元元年（1175年）には相模守に任じられ、自ら造営した浄土寺に後白河法皇と建春門院の御幸を仰ぎました。これは、彼の権勢を示す出来事と言えるでしょう。治承元年（1177年）正月には木工頭に任ぜられますが、同年6月に発生した鹿ヶ谷の政変により解官されます。鹿ヶ谷の政変では多くの院近臣が処分されましたが、業房は後白河法皇の懇願によって平清盛に釈放され、世間を驚かせました。

治承3年（1179年）正月には正五位下・左衛門佐に叙任されますが、同年11月の治承三年の政変により再び解官され、伊豆国への配流が決定します。しかし、彼は配流の途中で逃亡。同年12月に清水寺の僧房にて兵衛尉・藤原知綱に捕らえられ、権大納言・平宗盛のもとで拷問を受けた末に殺害されました。その非業の死は、人々に大きな衝撃を与えました。

業房の死後、妻の栄子は後白河法皇に出仕して寵愛を受け、覲子内親王（宣陽門院）を生みました。これにより、異父兄である業成の息子も登用されることになり、彼の血筋はその後も朝廷に影響力を持つことになります。文治2年（1186年）7月には、浄土寺付近の堂で供養が行われました。

肖像画

神護寺三像などと共に、神護寺が業房の肖像画を所蔵していたと伝えられていますが、残念ながら現存していません。

官歴

仁安2年（1167年） 正月20日：見左衛門尉。2月24日：検非違使宣旨
安元元年（1175年） 8月11日：見相模守
安元3年（1177年） 正月8日：木工頭。6月：解官（鹿ヶ谷の政変）
治承3年（1179年） 正月5日：正五位下。正月19日：左衛門佐。11月18日：解官、流罪伊豆国（治承三年の政変）。12月：卒去

系譜

父：平盛房
妻：高階栄子（丹後局）
長男：平業兼
次男：山科教成（1177-1239） - 藤原実教の養子、山科家の祖
女子：藤原範能室
女子：藤原宗隆室
* 女子：藤原兼光室

平業房は、後白河院の寵臣として栄華を極めましたが、政変によって翻弄され、悲劇的な最期を遂げました。しかし、彼の血筋はその後も続き、歴史に名を残すこととなりました。

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