平等寺 (京都市下京区)

平等寺（びょうどうじ）

平等寺は、京都市下京区因幡堂町に位置する真言宗智山派の寺院です。この寺院の山号は福聚山であり、本尊には薬師如来が祀られています。地元では因幡堂や因幡薬師として広く知られており、観音堂は洛陽三十三所観音霊場の第27番札所となっています。

歴史について

平等寺の創建にまつわる物語は、いくつかの文献で伝えられており、その中の一つが『因幡堂縁起』です。この物語によると、大納言の孫である少将・橘行平は、997年に因幡国の国司を終えて京に帰る途中、重い病にかかったと言われています。夜、彼の夢に現れた貴い僧から「因幡国にある浮き木を引き上げ、それが仏の国から流れてきたものである」と告げられました。行平は漁師に命じて波間から引き上げたのは、薬師如来の像でした。この薬師像を祀ったことで、行平は病を癒し、無事に京に帰ることができたとのことです。

この薬師像は、インドにある祇園精舎の本尊であり、行平は京にそれを迎える約束をして再び因幡を後にしましたが、時間が経つにつれてその約束は実現しませんでした。1003年、行平の屋敷に訪れたのは、なんと因幡から飛んできた薬師像でした。行平はこの像を高辻烏丸の屋敷に祀り、これが因幡薬師平等寺の始まりとされています。

また、縁起には別の説もあり、薬師像が引き上げられたのは959年ともされ、行平は勅命により因幡国の宇倍神社に参拝した際に病になったと言われています。さらに、薬師像が因幡の在地豪族・因幡氏の薬師寺に安置されていたとも伝えられています。

当時、平安京内で新たに寺院を建立することが禁止されていましたが、貴族が持つ仏堂は認められており、平等寺もその一つとして町衆の信仰の対象となったのです。承安元年（1171年）、高倉天皇から平等寺の寺号が下賜されました。

現在、平等寺では年間約1,000件の祈祷が行われ、その多くはがん封じをテーマにしているため、特に患者から厚い信仰を集めています。

境内の構成

平等寺の境内には以下のような建造物があります。

• - 本堂: 幕末の動乱で焼失後、明治19年（1886年）に再建されました。鈴木松年による仁王画が見られます。
• - 観音堂: 洛陽三十三所観音霊場の第27番札所で、本尊は十一面観音です。
• - 収蔵庫、庫裏、南門なども境内に位置しています。

文化財とその重要性

平等寺には多くの重要文化財が存在します。特に、木造の薬師如来立像は清凉寺の釈迦如来、善光寺の阿弥陀如来と並んで「日本三如来」の一つとされ、康和5年（1103年）以降の火災を免れて今日まで残っています。その他にも、鎌倉期に制作された木造釈迦如来立像や如意輪観音坐像など、貴重な文化財が数多く存在します。

倫理と芸術

平等寺では狂言の舞台としても知られ、「因幡堂」、「鬼瓦」、「仏師」、「六地蔵」、「金津」といった作品に登場します。このように、平等寺は信仰の中心であると同時に文化的な発信地としての役割も果たしているのです。

アクセス

平等寺は京都市営地下鉄烏丸線の四条駅から徒歩わずか3分の距離にあります。交通の便も非常に良く、多くの訪問者が訪れる場所となっています。

このように平等寺は、歴史を背景に持ちながら、現在も多くの人々に支持され続けています。

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