平等寺 (阿南市)

平等寺の概要

平等寺（びょうどうじ）は、徳島県阿南市新野町に位置する高野山真言宗の寺院です。この寺院は白水山（はくすいざん）と医王院（いおういん）と呼ばれ、薬師如来を本尊として祀っています。四国八十八箇所の第22番札所として広く知られ、阿南室戸歴史文化道に指定されています。また、四国八十八景の18番として「涅槃大師に見える風景」にも選定されています。

本尊と真言

本尊である薬師如来に対する真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」であり、参拝者はこの真言を唱えることで、薬師如来の知恵と慈悲を受けることができるとされています。また、寺の詠歌には「平等にへだてのなきと聞く時は　あら頼もしき仏とぞみる」という言葉があり、平等な幸せの実現を祈念しています。

歴史

この寺院の歴史は古く、寺伝によれば、空海（弘法大師）が当地で厄除け祈願を行った際に五色の雲が現れ、「大日如来」の梵字が金色で現れたとされています。その際、薬師如来像が浮かび上がり、空海はその場に井戸を掘り、乳白色の清水を得ました。この水で身を清めた空海は、百日間の修行を経て薬師如来を彫刻し、その祈願の心を込めた堂を建立しました。寺名の「平等寺」は、この霊水がもたらす人々の平等な幸せを願ったことから名付けられたと伝わります。

平等寺は七堂伽藍と12の末寺を持ち、長い歴史を経て繁栄しましたが、1592年に長宗我部元親の兵火によって焼失しました。その後、享保年間（1716年 - 1736年）に照俊阿闍梨によって再び建立されました。近年では、2017年1月より本尊初会式が毎年行われるようになり、2021年には本堂内陣のライブ配信を開始しました。

境内の特徴

境内には山門があり、入母屋造の楼門には金剛力士像が鎮座しています。本堂では薬師瑠璃光王如来を始め、脇仏の日光菩薩、月光菩薩、十二神将を見ることができます。特に内陣の天井絵には四国八十八ヶ所の本尊が描かれ、外陣の天井絵には多様な草花が美しく表現されています。

また、大師堂には空海の像があり、脇陣には十大弟子の像が並んでいます。鎮守社には愛宕大権現や天満大自在天神などが祀られ、心の平安を求める人々にとって重要な場所となっています。特に、白水の井戸は「弘法の霊水」として知られ、健康を願う人々が訪れます。更に、本堂正面には厄除け坂があり、男坂42段、女坂33段、子厄坂13段の合計88段が配されています。ここを登る過程で、本堂からは遠くに大師の姿が見えると言われています。

交通アクセス

平等寺へのアクセスも便利です。JR新野駅からは徒歩で2.3km、約28分、車で2.9km、約5分の距離にあります。バスを利用する場合は、徳島バスの阿南「新野局」停留所から徒歩で550m約2分で到着します。

文化財

平等寺境内は令和3年に国史跡に指定され、遍路道が特に注目されています。近隣には国指定有形文化財として、狩野内膳筆による「秋草図」の襖貼図も保存されており、文化的にも重要な寺院となっています。

結論

平等寺は、長い歴史と深い信仰の根を持つ寺院であり、訪れる人々に「平等な幸せ」を求める場所としての役割を果たしています。霊水や荘厳な建造物、豊かな文化遺産が一体となり、多くの人々に愛され続けています。

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