幼児洗礼

幼児洗礼と小児洗礼の概要



幼児洗礼、または小児洗礼は、キリスト教における洗礼の一形態で、幼い子供に行われる儀式です。この洗礼は、神の恩恵と保護を求めるものであり、幼児や小児が神の一員として受け入れられることを意味します。神学的には、幼児洗礼は「ペドバプティズム」とも呼ばれ、成人が受ける「信仰者のバプテスマ」と対比されます。

幼児洗礼を行う教派



幼児洗礼を行う伝統を持つ主な教派には、東方教会、カトリック教会、正教会などが含まれます。具体的には、以下の教派がこの洗礼を実施しています：

これらの教派の中には、幼児洗礼とともに堅信式（聖霊の賜物を受ける儀式）を実施することを認める立場や、一定の年齢になってからの堅信式を重視する立場があります。後者の場合、堅信の儀を行うまでは正式な信徒とみなされないことが一般的です。

幼児洗礼を行わない教派



一方で、幼児洗礼を認めない教派も多数存在します。主な教派には以下のようなものがあります：

これらの教派は、子供の信仰の自由を重視し、自己決定が可能になるまで入信を待つべきだと考えています。

洗礼式の流れ



幼児洗礼の式典は、教派によって異なる形式をとりますが、一般的に儀式は住民や信者が集まった場所で行われます。たとえば、正教会では幼児洗礼は浸礼の形式で行われ、洗礼の際に代父母が受洗者に代わって祈りを捧げることが通例です。

カトリック教会や聖公会では、子供が両親に抱かれ、洗礼司式者が「父と、子と、聖霊の御名によって洗礼を授ける」と唱えながら水を注ぎます。この際、白い洗礼ドレスを着ることが一般的で、家庭の伝承品となります。

幼児洗礼の歴史的背景



幼児洗礼はいつから行われているのかについては、学者の間で意見が分かれています。ある学者は早期のクリスチャンたちがこの儀式を行っていなかったと考え、他の学者は聖書の記述の中に家族を対象とした洗礼の例があり、そこに幼児も含まれていたと解釈しています。

たとえば、使徒行伝やエイレナイオスによる記述は、幼児洗礼の存在を示唆しています。また、カルタゴ公会の規程には「原罪から解放されるべき幼児へ洗礼を授けるべきだ」との記載があり、これが制度化された時期である可能性も示されています。

まとめ



幼児洗礼は、キリスト教の多様な信仰の表れであり、各教派の教理や伝統に基づいて行われます。この儀式は、幼い子供に対する愛情や信仰の表現として、家庭や教会において重要な意味を持っています。どの教派においても、幼児洗礼は信仰の継承としての役割を果たしており、現代においても続けられています。

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