幼君

幼君について

幼君（ようくん）とは、幼い君主のことです。成人の定義にもよりますが、おおむね18歳未満の君主に対して用いられることが多い言葉です。

概要

君主が一定の影響力を持つ制度においては、君主が幼いと、経験不足や知識不足から自分の判断で影響力を及ぼすことが難しい場合があります。その場合、摂政や後見人、外戚などが代わりに実質的な権力者となる仕組みが取られることがあります。

しかし、幼君を擁立することは、必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。摂政や後見人が、君主が幼いのを良いことに王位を簒奪したり、君主を殺害したりするケースも少なくありません。例えば、カッサンドロスによるアレクサンドロス4世の殺害、ナビスによるペロプスの殺害などが挙げられます。また、外戚による君主権力の行使が常態化し、外戚一族に権力が移動した例として、日本中世の摂関政治や北条執権政治があります。

このような事態が起こることを避けるため、判断力のある成人の君主が望ましいとされる一方で、あえて幼君が選択されることもあります。これは、特定の勢力が権力を掌握することを阻止するための политический маневрとして用いられることがあります。

君主の父母・祖父母などが健在であれば、それらの人物が後見人を務めることが多く、中国の垂簾聴政や中世日本の治天の君などが有名な例です。垂簾聴政ではないものの、中国最後の皇帝である溥儀も2歳で即位し、実権は父親の醇親王にありました。

中国史上最年少で即位したのは、後漢第5代皇帝の殤帝で、生後100日で即位し、翌年に崩御しています。

日本において最も幼くして即位した天皇は、1165年（永万元年）に生後9か月で即位した六条天皇です。1889年（明治22年）に制定された日本の皇室典範では、18歳未満の天皇に摂政就任順位に基づいて皇族が摂政につく規定があります。天皇幼少による摂政の実例は1868年1月3日（慶応3年12月9日）が最後となっており、皇室典範の規定によって天皇幼少を理由に摂政となった事例はありません。

西欧においては、誕生後ただちに即位した君主も存在します。フランス王ジャン1世、スペイン王アルフォンソ13世などがその例です。また、中東ではエジプト王国のフアード2世が1歳にも満たないうちに即位しましたが、翌年にムハンマド・アリー朝は打倒されました。

関連項目

幼主
少帝
殤帝
摂政
垂簾聴政
小皇帝

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