広戸風

広戸風（ひろとかぜ、ひろどかぜ）について

広戸風は、岡山県北東部、津山盆地を中心とした津山市（旧勝北町）から奈義町付近にかけて見られる、北寄りの局地的な強風です。この地域特有の気象現象であり、日本三大局地風の一つとして知られています。おろし風の代表的な例としても挙げられ、その強風は時に大きな被害をもたらします。

広戸風の語源

広戸風の名称は、旧勝北町との合併前に存在した広戸村に由来します。

広戸風の発生メカニズム

広戸風は、日本海から吹く北寄りの風が、鳥取県・千代川流域のV字谷に収束することで発生します。収束した風は、那岐山山系を越えて南麓に吹き降りる際に、さらに風速を増します。この風は、特に台風が近畿・中日本・関東地方を直撃する際に発生しやすく、大雨を伴うこともあります。

2004年の台風23号では、奈義町で最大瞬間風速51.8m/sを記録し、山林の大規模な倒木や家屋に甚大な被害をもたらしました。また、台風や発達した低気圧が紀伊半島の遥か沖合を通過する際に、遠く離れた好天の地域で発生することもあります。

広戸風発生時には、那岐山に風枕と呼ばれる特徴的な雲が観測されることが多く、古くからこの雲は広戸風発生の目安とされてきました。

広戸風への対策

広戸風の影響を受ける地域の集落では、北側に「戸背（コセまたはコゼ）」と呼ばれる防風林を植え、強風に備えている家屋が多く見られます。これは、地域住民が長年にわたり広戸風と共存してきた知恵と言えるでしょう。

まとめ

広戸風は、岡山県北東部の特定の地域に特有の気象現象であり、局地的な強風をもたらします。その発生には地形が大きく関わっており、台風などの気象条件が重なることで顕著になります。地域住民は防風林を植えるなどの対策を講じていますが、依然として強風による被害が懸念されています。広戸風は、地域の人々にとって注意すべき自然現象であり、そのメカニズムと対策は地域にとって重要な知識です。

参考文献

日下博幸・藤部文昭（編集代表） 編『日本気候百科』丸善出版、2018年。ISBN 978-4-621-30243-9。

外部リンク

広戸風について - 岡山地方気象台
* 広戸風 - 岡山県津山市

もう一度検索