庄司智久

庄司智久氏は、1953年5月30日に和歌山県で生まれた元プロ野球選手です。主に外野手として、その俊足と巧打で知られました。

中学時代は、地元に野球部がなかったため、隣町の中学校に進学して野球を始め、外野手としてプレーしました。新宮高校では、1年生の秋から二塁手としてレギュラーに定着。1971年の夏の和歌山県予選準決勝では、チームは敗れたものの、庄司氏自身は大会を通して3本塁打を放ち、また1試合で6盗塁を記録するなど、その高い身体能力と野球センスを見せつけました。高校の同期には、のちに社会人野球で活躍する峯本達雄氏がいました。

同年秋のドラフト会議で、読売ジャイアンツから3位指名を受けてプロ入り。入団を機に外野手に転向しました。巨人時代、その傑出した俊足はチーム内で注目され、メジャーリーグの伝説的な盗塁王、モーリー・ウィルスの名にちなんで「モーリー庄司」というニックネームで呼ばれたほどです。しかし、当時の巨人はV9時代を支えた柴田勲氏、高田繁氏、末次利光氏といった強力な外野陣が全盛期を迎えており、庄司氏はなかなか一軍の定位置を掴むことができませんでした。プロ4年目の1975年には代走を中心に54試合に出場しましたが、多くの時間を二軍で過ごすことになります。

二軍での生活が続く中で、庄司氏はイースタン・リーグで驚異的な成績を残します。1976年には盗塁王を獲得。さらに翌1977年には、首位打者、本塁打王、打点王、そして盗塁王という前人未到の「打撃四冠＋盗塁王」を達成しました。この活躍が認められ、1978年には前年まで末次氏が使用していた背番号38を受け継ぎ、一軍に昇格。主に守備要員として試合に出場し、この年もイースタンで3度目の盗塁王に輝いています。しかし、1979年は再び一軍公式戦での出場機会がなく、同年オフ、長嶋茂雄監督のチーム改革による大型トレードの一環として、古賀正明氏、小川清一氏との2対3の交換で、小俣進氏、田村勲氏と共にロッテオリオンズへの移籍が決まります。

新天地であるロッテに移籍した1980年、庄司氏は大きなチャンスを掴みます。それまで左翼手を務めていた白仁天氏に代わってレギュラーを獲得し、俊足の弘田澄男氏と一・二番コンビを結成。抜群の出塁率と機動力でチャンスを量産し、チームの攻撃を牽引しました。この活躍もあり、ロッテは1980年、そして1981年とパ・リーグ前期優勝を2年連続で達成しました（いずれもプレーオフで敗退）。プロ入り10年目の1981年には、自身初となるオールスターゲームにも出場。第2戦では古巣巨人の投手、角三男氏から本塁打を放ち、存在感を示しました。シーズンでも初の規定打席に到達し、打率.293（リーグ16位）というキャリア最高の成績を残すとともに、パ・リーグプレーオフ優秀選手賞を受賞するなど、選手としての評価を不動のものとしました。

1982年以降は、手の皮が剥けるという持病の皮膚病に悩まされながらも、1984年までロッテのレギュラー外野手として活躍を続けました。しかし、1985年には横田真之氏、翌1986年には古川慎一氏といった大学出の新人外野手が入団したことで、徐々に出場機会が減少。そして1988年シーズン終了をもって、現役を引退しました。

プロ野球選手引退後は、不動産会社や化粧品の販売会社での勤務を経て、現在は警備会社に勤めています。会社員となった後も野球との縁が切れることはなく、OBによるマスターズリーグの東京ドリームスや、著名なOBが集まるモルツ球団に参加。特にモルツ球団には、2024年現在も皆勤賞を続けており、これは同時期に巨人からロッテへ移籍した張本勲氏や、同じ和歌山県出身の久保文雄氏（元大洋）ら、ごく限られたメンバーのみが達成している記録です。また、日本プロ野球選手会や日本プロ野球OBクラブが主催する少年野球教室では、後進の指導にも熱心に取り組んでいます。プロ野球28会にも所属し、「メジャーベースボールアカデミー」のコーチも務めるなど、野球界への貢献を続けています。

プロでの初出場は1974年5月18日の対大洋ホエールズ戦（川崎球場）、8番遊撃手として先発出場でした。初安打は1975年7月26日の対ヤクルトスワローズ戦（後楽園球場）での代打出場時、初本塁打および初打点はロッテ移籍後の1980年5月28日の対阪急ブレーブス戦（川崎球場）で記録しています。背番号は巨人時代が59（1972-1977年）と38（1978-1979年）、ロッテ時代が35（1980-1988年）でした。

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