府中三人衆

府中三人衆について

府中三人衆（ふちゅうさんにんしゅう）は、戦国時代における歴史的な呼称で、織田信長の支配下で越前国を治めていた不破光治、佐々成政、前田利家の3人を指します。この称号は、江戸時代の史料にも見られますが、実際には戦国時代から用いられていたことが確認されています。特に重要な記述は、天正4年（1576年）の書状に「府中三人衆」という名が登場することからも明らかです。彼らの誕生と活躍について、以下に詳しく述べます。

三人衆の誕生

天正元年（1573年）の8月、織田信長は越前国に侵攻し、朝倉義景を打倒します。その後、信長は降伏した前波吉継を一乗谷に、富田長繁を府中に任命し、それぞれの地域の政務を任せました。しかし、両者の関係が悪化し、天正2年（1574年）には長繁が吉継を滅ぼして越前を支配しましたが、これに伴う一向一揆との対立が勃発し、長繁は討たれてしまいます。この一連の流れにより、越前国は一時的に「百姓の持ちたる国」と化しました。

その後、天正3年（1575年）、信長は大軍を派遣して一揆勢を殲滅し、再び越前国を支配下に置きました。この時、柴田勝家に越前の八郡が与えられ、彼に任されたのが不破光治、佐々成政、前田利家の3人です。彼らは府中周辺の二郡を与えられ、勝家の目付として治政にあたりました。これによって「府中三人衆」という呼称が一般に用いられるようになったのです。

知行と任務

三人衆はそれぞれ、不破光治が龍門寺城、佐々成政が小丸城、前田利家が府中城を拠点にしました。初期には支配領域が曖昧でしたが、総じて約10万石の知行を共に持っていたとされています。当初の活動は共同で行われていたものの、天正4年（1576年）には所領の明確化が図られ、それぞれが独自の所領と与力を持つことになりました。これに伴い、3人連署の文書は見られなくなり、各々の支配地域が確立されていくのです。

彼らの役割は、信長の指示により越前の大半を任された柴田勝家の目付として、地域の治安や政務の安定を図るものでした。その後、加賀一向一揆や他の戦いを通じて、彼らの与力としての面が強まっていきます。しかし、彼らは勝家の指揮下に留まっていたわけではなく、天正6年（1578年）には反乱に対処するために、一時的に別行動をとることもありました。

三人衆の終焉

佐々成政は天正8年（1580年）に越中国の平定に成功し、越中を支配することになります。前田利家もまた、加賀国や能登国の平定に従事し、最終的に能登を一国支配することとなります。不破光治は同年に死去したとされ、これにより府中三人衆としての活動は事実上終了しました。

府中三人衆は、戦国時代の激動の中で、信長と柴田勝家の下で大きな役割を果たしましたが、その活動の終息とともに、彼らの名は歴史に刻まれることとなります。各々の知行を拡大し、自治を確立した彼らの姿は、戦国武将たちの中でも特異な存在として知られています。

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