府川源一郎

府川源一郎

府川源一郎（ふかわ げんいちろう、1948年 - ）は、日本の国語教育界に多大な貢献をした小学校国語科教員、国語教育学者です。横浜国立大学名誉教授の称号を持ち、退職後は日本体育大学教授を務めました。

経歴

1948年、東京都に生まれた府川氏は、1971年に横浜国立大学教育学部小学校教育課程を卒業後、同大学院教育学研究科修士課程を修了しました。1972年からは神奈川県川崎市の公立小学校教諭として、普通学級と障害児学級（ことばの教室）を担当。1980年からは横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉小学校教諭として教鞭を執りました。

17年間の小学校教員生活を経て、1987年より横浜国立大学教育人間科学部に勤務し、教授に就任。2014年3月末に定年退職し、同年4月には名誉教授となりました。退職後も、日本体育大学教授として後進の指導にあたり、2022年に退職しました。

所属学会・受賞

府川氏は、日本文学協会、全国大学国語教育学会、日本国語教育学会、日本読書学会など、数多くの学会に所属し、国語教育研究の発展に貢献しました。

2014年には、『明治初等国語教科書と子ども読み物に関する研究 : リテラシー形成メディアの教育文化史』で、第38回日本児童文学学会学会賞特別賞を受賞。長年の研究成果が高く評価されました。

府川文庫

府川氏が研究資料として収集した明治期の教科書類など約3,000点は、横浜国立大学附属図書館に「府川文庫」として収められています。また、子ども読み物・副読本・おもちゃ絵類などは、日本体育大学図書館に「府川源一郎文庫」として所蔵されており、貴重な研究資料として公開されています。

著作

府川氏は、数多くの著書や編著を通じて、国語教育に関する独自の理論や実践方法を発信しました。主な著書には、以下のようなものがあります。

『文学教材の〈読み〉とその展開 : 教材研究から授業実践へ』 新光閣書店、1985.01.
『文学教材単元学習の新展開』 明治図書出版〈授業への挑戦〉、1986.09.
『消えた「最後の授業」 : 言葉・国家・教育』 大修館書店〈TaiShuKan国語教育ライブラリー〉、1992.07.
『「国語」教育の可能性 : ことばを通してことばを発見するために』 教育出版、1995.06.
『文学すること・教育すること : 文学体験の成立をめざして』 東洋館出版社〈シリーズ・国語教育新時代〉、1995.08.
『「稲むらの火」の文化史』 久山社〈日本児童文化史叢書〉、1999.01.
『「ごんぎつね」をめぐる謎 : 子ども・文学・教科書』 教育出版、2000.05.
『自分のことばをつくり出す国語教育』 東洋館出版社、2001.04.
『私たちのことばをつくり出す国語教育』 東洋館出版社、2009.08.
『明治初等国語教科書と子ども読み物に関する研究 : リテラシー形成メディアの教育文化史』 ひつじ書房、2014.02

また、編著も多数手がけており、以下はその一部です。

『読書を教室に : 〈読み〉の授業を変えよう』小学校編/中学校編、長編の会 共編著. 東洋館出版社、1995.08.
『過去と記憶の“リ・メイキング” : 学校時代の「事件」に出会いなおす方法』 編著. 太郎次郎社、1998.08.
『「本の世界」を広げよう 文化を生み出す国語教室』 高木まさき, 長編の会 共編著. 東洋館出版社、1998.05.
『合科的・総合的な学習のための 読書関連単元100のプラン集』 高木まさき, 長編の会 共編著. 東洋館出版社、1999.08.
『合科的・総合的な学習のための 読書関連単元33の実践とプラン』 高木まさき, 長編の会 共編著. 東洋館出版社、2001.07.
『心にひびく名作読みもの : 読んで、聞いて、声に出そう』1年-6年、佐藤宗子 共編. 教育出版、2004.03.
『認識力を育てる「書き換え」学習』小学校編/中学校・高校編、高木まさき, 長編の会 共編著. 東洋館出版社、2004.08.
『図解 すぐに身につく・学力が高まる小学校国語 学習スキル101の方法』 編著. 教育出版、2005.04.
* 『読解力up! 小学校全体で取り組む「読書活動」プラン』 編著. 明治図書出版、2007.12.

府川源一郎氏は、長年の教育実践と研究活動を通じて、日本の国語教育の発展に大きく貢献した人物として、その功績は永く記憶されることでしょう。

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