弓削是雄

弓削是雄（ゆげ の これお）について

弓削是雄は、平安時代前期の著名な貴族であり、陰陽師としても特に知られています。彼は連姓から宿禰姓に改姓し、正六位上の位を持っていました。父は弓削安人であり、彼は従五位下・陰陽頭の官職を兼ねていました。今回、彼の生涯や経歴、特に占いに関する伝説について見ていきます。

経歴

弓削是雄は、清和天皇の時代の前半に陰陽寮の陰陽師として活躍しました。貞観6年（864年）には父と共に本貫を播磨国飾磨郡から河内国大県郡に移しました。彼のキャリアは順調に進み、清和天皇の統治下で陰陽允・陰陽権助としてさらに重要な役割を果たしました。

特に貞観19年（877年）には陽成天皇の即位に伴い外従五位下に昇叙されるとともに、同年に宿禰姓に改姓しました。この年には、夜間の日食が発生し、中務省からの奏上がきっかけで廃務が行われた際、弓削是雄はこの日食についての報告を行い、陰陽道と暦法の重要性を示しました。

彼の後半生では、元慶6年（882年）に内位の従五位下に叙せられ、仁和元年（885年）には陰陽頭に昇格しました。彼は延喜8年（908年）に61歳で他界したと伝えられています。

説話

弓削是雄には占いにまつわる多くの伝説があります。特に有名なのは、伴世継という人物を救った逸話です。この物語は『今昔物語集』に記載されています。世継は、東国にいる際に悪夢を見て目を覚まし、すぐに是雄に夢の意味を占ってもらいました。

是雄は、彼の家に殺そうとする者がいると警告しましたが、世継は急いで帰宅しなければならず、どうしたら難を避けることができるのか尋ねました。そこで、弓削是雄は具体的な対策を提案し、世継に矢を持たせて隠れ場所をうかがうように指示しました。この助言に従った世継は、危険を察知し、無事に帰宅することができました。

到着後、彼は指示通りに弓を構え、隠れていた法師を見つけ出しました。法師の告白によると、世継を殺そうとしていたのは彼の妻でした。この件は世継にとって驚きであり、結果的に弓削是雄の占いが的中したことを喜びました。

このように、弓削是雄の占いはただの偶然ではなく、彼の高い技術と知識に裏打ちされていたものでした。彼の存在は、多くの人々に影響を与え、彼の名は今でも語り継がれています。占いの能力は不思議であり、彼のような陰陽師が存在したことは、平安時代の文化の豊かさを物語っています。

官歴

弓削是雄の官歴は以下の通りです。

• - 従八位下（時期不詳）：陰陽師としての活動を開始
• - 貞観6年（864年）8月8日：播磨国飾磨郡から河内国大県郡に移貫
• - 正七位上（時期不詳）：陰陽允
• - 貞観15年（873年）12月1日：右京三条二坊に移貫
• - 正六位上（時期不詳）：陰陽権助兼播磨権少掾
• - 貞観19年（877年）正月3日：外従五位下に昇叙、12月25日：連姓から宿禰姓に改姓
• - 兼備前権掾（時期不詳）
• - 元慶6年（882年）正月7日：従五位下（内位）
• - 仁和元年（885年）4月27日：陰陽頭に昇格
• - 延喜8年（908年）5月6日：卒去

弓削是雄の生涯は、平安時代の陰陽道の発展と彼自身の技術によって彩られたものであり、今なお多くの伝説によって人々の記憶に残っています。

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