弘仁式

弘仁式（こうにんしき）

弘仁式は、平安時代初期に編纂された法律的な書物であり、全40巻から構成されています。この式は、三代格式の一つとして位置づけられており、後の政務や法令の基本的な枠組みを提供しました。具体的には、弘仁式は官僚制度や行政組織の整備を促進するために重要な役割を果たしました。

編纂の背景

この格式の編纂は、桓武天皇の時代から考案されていましたが、本格的な取り組みが始まったのは嵯峨天皇の時代です。嵯峨天皇の指示により、藤原冬嗣を総裁にして「造格式所」が設立されました。これに伴い、藤原葛野麻呂や秋篠安人らが参加し、具体的な編纂作業が進められました。

弘仁11年4月21日（西暦820年6月5日）、弘仁格および弘仁式が同時に完成し、その後も修正が行われました。約10年後の天長7年10月7日（830年10月26日）には改めて撰進され、同年11月17日（12月5日に相当）に施行されました。しかし、施行された後も不備が指摘され、さらなる筆削が行われました。その結果、承和7年4月20日（840年5月24日）には「遺漏紕繆」が改正され、再度頒布されました。現在伝わっている弘仁式の内容は、この改正後のものと考えられています。

内容の概要

弘仁式は、以前は「八十一例」や「式部省例」、「民部省式」などが個別に作成されていましたが、この格式ではそれらの官司ごとの例式や過去の事例を整理し、適切に再配置しました。特に、必要に応じて新たな式を形成する必要があったために、形式的な整合性が求められました。さらに、貞観式が制定された後も、既存の事項については弘仁式の規定が用いられていたため、当初は混乱が生じていました。

このような背景から、最終的に全体の統一を図るために「延喜式」が編纂されることとなり、その結果、弘仁式や貞観式は次第に使われなくなりました。

現存資料

弘仁式の原文は不幸にも全巻が消失してしまいましたが、一部の資料は九条家本『延喜式』の紙背文書に残されています。残存する資料は非常に限られており、巻十九の式部下や巻二十五の主税上の断片、また他の著作に見られる抜粋などが知られるのみです。また、30巻本の写本は存在しますが、これは偽書とされています。

参考文献

弘仁式に関する研究は多数存在しています。佐藤誠実による解説や、瀧川政次郎編集の論集などがその一部です。これらの文献を通じて、弘仁式の歴史的意義やその後の影響を学ぶことができます。

関連項目

• - 三代格式
• - 弘仁格

このように、弘仁式は平安時代の日本の法制度や官僚組織に多大な影響を与え、その後の発展に寄与した重要な書籍であると言えるでしょう。

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