秋篠安人

秋篠安人の生涯と経歴

秋篠安人（あきしの の やすひと）は、奈良時代から平安時代初期にかけて活躍した公卿であり、父は阿波守・土師宇庭です。彼はその官位として、従三位および参議に任ぜられました。安人についての詳細は、史料として著名な『公卿補任』や『尊卑分脈』に記載されています。

出自と改姓の背景

安人は元々「土師宿禰」という姓を持っていました。しかし、彼の同族の古人らが天応元年（781年）に本拠地である大和国添下郡菅原の地名にちなんで「菅原宿禰」に改姓しました。これに倣い、安人も翌年の天応2年（782年）に本拠地の秋篠に由来して「秋篠宿禰」に改姓を願い出ます。

改姓の理由として、古くから土師氏は埴輪の発明者である野見宿禰の子孫とされ、葬送儀礼に深く関与してきたことを挙げています。この役割は不本意であったため、安人は新たな名前を求めたのです。

経歴の詳細

安人の官歴は非常に多彩です。初期には正八位上の地位にあり、さらに少内記として公務を開始しました。その後、延暦8年（789年）には外従五位下に昇進し、延暦10年（791年）には少納言となります。この時期、彼は文書作成を行う官職を優れた手腕で務めていました。

続く嵯峨朝では、秋篠安人は薬子の変後に復権し、再度参議として公卿の仲間入りを果たします。彼は左大弁や左右兵衛督といった重要な役職を兼任し、さらに総力を注いで政治に関わりました。

安人はまた、延暦15年（796年）には『続日本紀』の編纂を菅野真道とともに完成させ、正五位上に叙せられるなど、文官としても名を馳せました。時折、武官としての役割も果たし、右兵衛佐や中衛少将と等の地位も同時に持っていました。

特に彼の昇進は順調であり、延暦19年（800年）には従四位下となり、延暦24年（805年）には参議に任ぜられました。この時点で彼の名声は高まり、右大弁や近衛少将といった官職も兼務しました。

最晩年と遺産

晩年の秋篠安人は、一時的に失脚を経験しますが、後に復権し再び重要な地位を獲得します。弘仁6年（815年）には従三位に叙せられ、彼の官歴の集大成を示す存在となります。最後に、弘仁12年（821年）1月10日に70歳で薨去しました。最終的な官位は参議従三位行近江守でした。

彼の人生は、政治と文書作成の両面での功績が顕著であり、後世に多くの影響を与え続けています。特に『弘仁格式』の編纂は、彼の学識と取り組みを象徴する重要な仕事でした。秋篠安人の生涯を振り返ることは、奈良時代から平安時代にかけての歴史を理解する上で欠かせない要素です。

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