貞観式

貞観式（じょうがんしき）

貞観式は、平安時代初期の貞観年間に編纂・施行された格式（律令の施行細則）です。全20巻から構成されています。

編纂の経緯

清和天皇の貞観年間（859年～877年）に、藤原氏宗、南淵年名、大江音人、菅原是善、紀安雄、大春日安永、布瑠道永、山田弘宗の8名によって編纂が進められました。貞観13年8月25日（871年9月13日）に完成し、朝廷に奏進されました。同年10月22日（12月7日）に勅により施行されました。

貞観式は、既存の『弘仁式』を増訂・追補する形で編纂されました。しかし、『弘仁式』を廃止するのではなく、両方を併用するという形式が採られました。これは、弘仁式の内容を全面的に改訂するのではなく、必要な部分のみを修正・追加するという方針であったためです。

特徴

貞観式では、『弘仁式』の条文を改訂する際に、まず「前式」と明記し、その後に「今案ずるに」という書き出しを用いて改訂内容を記載する、という独特の表記法が用いられました。この表記法は、既存の条文と改訂内容を明確に区別するために採用されたと考えられます。この手法により、編纂期間は短縮され、巻数も『弘仁式』の半分に収まりました。

影響とその後

しかし、結果として『弘仁式』と『貞観式』の両方を参照しなければならないという不便さが生じました。これにより、実務上、混乱が生じたと考えられます。この不便さが、後に全面的改訂を施した『延喜式』を編纂する一因となりました。延喜式が完成すると、『弘仁式』と『貞観式』は施行を停止されることになりました。

現状

現在、貞観式は大部分が散逸しており、一部が逸文として残されているのみです。そのため、その全容を把握することは困難となっています。

関連項目

三代[[格式]]
貞観格
* 貞観儀式

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