厳顔

厳顔の生涯とその言葉の意義

厳顔（げん がん、生死年は不明）は、中国の後漢末から三国時代にかけて活躍した武将で、益州巴郡臨江県出身です。彼の名前は、戦国時代の歴史や伝説にたびたび登場し、特に張飛とのやり取りが大変有名です。厳顔の生涯は意外に短い記述しか残っておらず、詳細な経歴は不明ですが、彼の行動や言動は多くの人々に影響を与える要素となっています。

経歴と背景

厳顔は、最初に劉焉に仕え、その後は劉璋の下で活動していました。彼は、巴郡太守である趙筰の部将としても知られています。建安16年（211年）、劉備が劉璋に招かれて蜀に入ることになった際、厳顔は「一人で奥山に座し、猛虎を放って我が身を守るようなものだ」と嘆き、彼自身の無力感を表現したとされています。

張飛との対峙

建安17年（212年）、劉備が益州を攻略しに巴郡を攻めた際、厳顔は巴郡を守る立場にありました。彼は張飛の軍に捕らえられた際、自らの命を懸けて誇り高く戦ったことで知られています。捕まった際に、自分に跪くよう迫る張飛に対し、厳顔は「お前達は無礼にも、我が州を侵略した。我が州に首を刎ねられる将軍はいても、降伏する将軍はいない。早く首を斬れ」と勇敢に言い放ちました。この言葉は、彼の性格と自尊心を明確に示しています。

張飛は彼の態度に感動し、厳顔を解放したとも伝承されています。これにより厳顔は劉備の家臣となり、以後、彼の下で活動することとなります。この逸話は厳顔のことを伝える上で非常に重要なポイントとなっています。

文学的な評価

『三国志演義』では、厳顔は老将として描かれていますが、正史には彼が老将であるとの記述は少なく、彼がどのようにして軍事的な指導者になったのかははっきりしません。しかしながら、張飛に対する彼の言葉は、彼の存在感を強める要素であると言えるでしょう。物語の中でも、彼は他の守将に降伏を促すなど戦の流れを導いたとして大いに活躍しました。

文化的な影響

南宋末期の文人、文天祥が作った詩「正気の歌」にも、蘇武や張巡と並んで厳顔が登場する場面があります。これによって、彼は歴代の忠臣義士の一人として位置づけられています。

最後に、重慶市忠県で見つかった三国時代の墓の中に、地元の伝承から厳顔の墓とされるものがあったという話も興味深いです。厳顔の言葉と行動は、人々に深い印象を与え、彼の名は時を超えて語り継がれています。彼の誇り高い態度は、後の世代にとっても大きな勇気となり、武士道の精神を象徴しているのです。

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