張尚

張尚（ちょう しょう）は、生没年不詳の中国三国時代の呉の政治家です。徐州広陵郡の出身で、祖父は張紘、父は張玄という家系に生まれています。

孫晧の時代に、張尚は侍郎を経て、侍中・中書令という重要な官職に昇進しました。しかし、彼の運命は孫晧の機嫌を損ねたことから暗転します。

ある時、孫晧が琴の演奏について張尚と話していた際、張尚は「晋の平公が師曠に清角の調べを弾かせようとしたとき、師曠は『我が君の徳は薄く、これをお聴きになるには足りません』と申し上げました」という故事を引用しました。孫晧はこれを自身への批判と受け止め、激怒しました。まず、別の罪をでっち上げて張尚を投獄し、その後、建安郡に移送して船作りの労役に就かせ、最終的には処刑してしまいました。

しかし、『三国志』の注に引かれている『呉紀』には、異なる記述が見られます。それによると、張尚は議論において孫晧をたびたびやり込め、また孫晧の酒量を孔子に例えたことが孫晧の怒りを買い、拘束されたとされています。ただし、岑昏ら百余人の嘆願により、処刑は免れたと伝えられています。

また、『三国志』注に引く『江表伝』では、張尚は「俊才」と称賛されており、その才能は高く評価されていたことがうかがえます。

張尚の生涯は、才能がありながらも君主の怒りを買い、悲劇的な結末を迎えた人物として、後世に語り継がれています。彼の死は、当時の政治状況や君主の性格を反映していると言えるでしょう。

参考文献
* 陳寿撰、裴松之注『三国志』巻53 呉書 張紘伝及び付張尚伝

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