張布

張布の生涯

張布（ちょうふ、? - 264年）は、中国の三国時代における武将であり政治家で、特に呉に仕官したことで知られています。彼の弟は張惇、張恂であり、二人の娘をもうけました。張布の事績は『三国志』の呉志「三嗣主伝」などで詳細に記録されています。

初期の生涯

張布は、呉の王である孫休が位にあった時期から彼と親しい関係にありました。左右の将督として任命されるなど、孫休から特別な信任を受けていました。実際、呉の実権を握る孫綝が孫亮を廃位し孫休を新たな帝として迎えた時、張布は長水校尉の地位にあり、彼の政治や軍事における顕著な功績が評価されて永安元年（258年）に輔義将軍に昇進し、永康侯にも封じられました。

孫綝打倒の計画

後に張布は左将軍となりますが、実権を持つ孫綝に対する危惧が高まりました。ある日、孫綝が祭りのために参内しようとした際、彼はその道中で酔った勢いで孫休に対する恨みを語り、それを張布が孫休に伝えたことで、張布は孫休との絆を強める結果となります。孫休は孫綝のクーデターを察知し、張布と共に打倒する計画を立てました。丁奉という将軍もこの計画に参画し、孫綝を討つ時期が決定すると、同年12月に張布と丁奉は兵を指揮し、孫綝を捕らえ、即日処刑しました。

この功により張布は中軍督に昇進し、弟たちも恩恵を受けました。張惇には都亭侯、張恂には校尉の地位が与えられました。

政権を握った張布

永安5年（262年）、濮陽興が丞相として任命され、張布は彼と親しい関係にあったため政権を掌握しました。しかし、権力が増すにつれて彼の行動は次第に傲慢になっていきました。孫休が学問を重視し始めた際には、張布はその様子を嫌い、反対の姿勢を貫きました。このため、孫休からは以前の孫綝に似た行動として批判されることとなり、張布は反省をしつつも、学問の重要性を軽視する態度を崩さなかったため、最終的には孫休の意を汲まれる形で、学問の登用が見送られることとなります。

孫休の死とその後

永安7年（264年）、孫休が崩御した際、彼が後継ぎに自らの息子を指名していたにもかかわらず、その息子が幼すぎて国を治められないと判断した張布は、万彧の助言を受け入れ、濮陽興と共に孫晧を擁立しました。この行動により、張布は驃騎将軍としての地位を得ましたが、孫晧が即位してからは権力を誇り、横暴にふるまうようになりました。この状況を反省した張布は、結果的に自らの立場に危機が迫り、讒言によって濮陽興と共に広州へ流罪となり、その後移送中に命を落としました。

家族の悲劇

張布の死後、その次女は妃の位置に就くことになり、孫晧に愛される存在となりました。しかし、彼女は父の死について言及したため、孫晧に命を奪われてしまいました。この悲劇的な出来事の後、孫晧は彼女の美貌を惜しみ、彼女の像を作らせるほどでした。また後に、孫晧は張布の長女を奪い取って自身の側室とし、彼女との唯一の関係に耽る生活を送り、その死後は過剰な悲しみを見せたりしていました。

張布の人生は、権力と愛憎が交錯するような波乱に満ちたものであり、中国の歴史における一つの悲劇として今なお語り継がれています。

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