張沢相

張 沢相（チャン・テクサン）

張沢相（チャン・テクサン、1893年10月22日 - 1969年8月1日）は、大韓民国の政治家及び独立運動家である。彼は、朝鮮時代の学者張顕光の血統を引き継ぎ、政治と教育の分野で影響力を持った人物として知られる。字は致雨（チウ）、号は滄浪（チャンナン）である。

幼少期と教育

彼は慶尚北道の漆谷郡北三面呉太洞（現在の亀尾市）で生まれ、本貫は仁同張氏である。15歳の時に日本へ渡り、1909年に早稲田大学に入学した。しかし、この年の10月には安重根による伊藤博文の暗殺事件が発生し、状況が変化したことを受けて翌1910年には中国・上海に亡命。独立運動への道を歩み始めた。

張はその後、ロシアでの亡命生活を経て1919年にはドイツ経由でイギリスに渡り、エディンバラ大学に入学したが、ここでも同様に中退してしまった。25歳でアメリカに渡ると、李承晩や趙炳玉らと交流を深める。29歳で再度イギリスにわたり、帰国後はそれまでの活動から隠居生活に入った。

政治活動

1945年、韓国の独立に伴ってソウルに戻ると、韓国民主党の設立に参加。イギリス留学の経験と英語の能力を生かし、軍政庁から首都警察庁長に推薦され、その職を1948年まで務める。在任中は左翼の弾圧に注力し、その強硬な姿勢から「顔はネロ、ふるまいはゲーリング」と評された。

1948年には、大韓民国政府の設立に関与し、初代外務部長官に就任する。駐華大使職への打診を拒否し、駐英大使となる打診に対抗して自己アピールを行ったが、最終的には辞任することとなった。国会への復帰を果たした後、1950年の第2代総選挙では無所属で当選し、さらには3選を達成する。国会では曺奉岩や金東成と共に副議長に選出されたほか、国際連合総会に韓国代表として参加した。

朝鮮戦争とその後

1952年5月には第3代国務総理に選ばれ、同年7月には憲法改正に関与。その際、警察を使った干渉により、李範奭から告訴を受け、辞表を提出した。サッカー界にも貢献し、大韓サッカー協会の会長を1952年から1954年にかけて務めた。

1956年には院内国民主権擁護闘争委員会の委員長を務め、1958年には反共闘争委員会の委員長として、在日同胞の帰還事業に反対する運動にも参加した。1961年に朴正煕がクーデターを起こすと、彼は反体制活動を展開するが、1963年の選挙では落選してしまう。その後、対日屈辱外交反対運動に関与し、1964年には新韓党の顧問に就任した。

晩年と死去

晩年には同郷の政治家・申鉉碻の後援活動を行い、1969年8月1日に66歳で死去。その後、8月7日に国民葬が行われた。彼は韓国の政治史において重要な役割を果たし、独立運動から在日同胞の帰還事業に至るまで広範な活動を展開した。彼の遺志は、今尚、多くの人々に語り継がれている。

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