張籍

張籍（ちょう せき）

張籍は、766年頃に生まれ、830年頃に没したと推測される、中国唐代中期の詩人です。字は文昌といい、官職にちなんで張司業とも呼ばれていました。彼の本貫は呉郡呉県であり、現在の江蘇省蘇州市周辺にあたります。

生涯

張籍は、和州烏江県（現在の安徽省馬鞍山市和県）で生まれました。799年に進士に合格しましたが、寒門出身であったため、その後の出世は順調とは言えませんでした。彼は、秘書郎、水部員外郎、主客郎中などの官職を歴任しましたが、師であり友人でもあった韓愈の推薦により、国子博士から国子司業に昇進しました。

詩人としての業績

張籍は、詩人として非常に高い評価を受けています。特に、賈島や孟郊などと交流し、古詩をよくしました。また、盟友である王建と共に、七言楽府に優れた作品を多く発表し、二人は「張王」と並び称されるようになりました。

彼の詩風は、平易な言葉で表現されているにもかかわらず、社会の矛盾を鋭く指摘するものでした。その才能は、同時代の詩人である白居易から「現代において、彼の才能に匹敵する者はいない」と絶賛され、後輩の姚合からも「古風においては並ぶ者がおらず、新しい表現は人々を魅了する」と称えられました。

張籍は、中唐楽府運動の重要な担い手であり、白居易や元稹と共に「元和体」と呼ばれる新しい詩風を形成しました。

また、彼は、詩人としての名声を高めるため、杜甫の詩集を焼いてその灰に蜜を混ぜて飲んだという逸話も残っています。この逸話は、彼の詩に対する情熱と、偉大な詩人になろうとする強い意志を示すものとして語り継がれています。

張籍の詩は、『張司業詩集』として8巻にまとめられています。

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