張龍

張龍（ちょう りゅう）

張龍は、元末から明初の時代に活躍した軍人です。生年は不明ですが、1397年に亡くなりました。彼は安徽省鳳陽県出身で、朱元璋に仕え、明朝の建国に大きく貢献しました。

生涯

張龍は、1353年に定遠攻略に参加した24将の一人として、その名を歴史に刻みます。1355年には長江を渡る戦いに従軍し、1357年には常州や寧国を攻略するなど、各地での戦いでその武勇を示しました。

1358年には婺州を攻略し、1361年には江州攻略の先鋒を務めました。1364年には武昌を攻略し、花槍所千戸に任ぜられます。1366年には淮東を攻略し、海安を守備。張士誠軍との海戦では彭元帥を捕らえ、多数の捕虜を得るという大きな戦果を挙げました。1367年には通州に侵攻し、敵将を討ち取り、威武衛指揮僉事に昇進しました。

1368年、明朝が建国されると、張龍は山東・河南平定戦に参加し、潼関攻略後は副留守としてこれを守りました。1370年には鳳翔衛指揮となり、鳳翔を守備。賀宗哲軍による攻撃を受けますが、右肘に矢傷を負いながらも果敢に戦い、敵軍を撃退しました。その後、鳳州を攻略し、李参政ら20余人を捕らえるという戦果を挙げます。また、徐達が沔州を攻めた際には、張龍は一軍を率いて鳳翔を経由し興元を攻め、守将劉思忠を降伏させ、金興旺と共に興元を守備しました。夏の将、呉友仁が興元に侵攻した際、兵力差が圧倒的に不利な状況下で、張龍は自ら北門から突撃し、呉友仁軍を大敗させ、以降、呉友仁は興元を攻めることはできませんでした。この功績により、彼は僉大都督府事に任ぜられました。

1378年には副将として李文忠に従い洮州を攻略。その功績により鳳翔侯に封ぜられ、禄2千石を賜り、世襲指揮使となりました。1381年には傅友徳に従い雲南遠征に参加し、1382年には七星関、大理、鶴慶を攻略し、雲南各地の蛮族を平定しました。この功績により禄5百石が加えられました。1387年には馮勝に従い金山でナガチュを降伏させ、1388年には雲南遠征で常徳の反乱を鎮圧し、重慶まで追跡して捕縛しました。1390年には唐勝宗と共に平越、鎮遠、貴州の屯田を行い、龍里衛を設置。都勻で反乱が起きた際には、藍玉を補佐してこれを鎮圧しました。

1397年、張龍は生涯を終えました。彼は明朝の建国と安定に大きく貢献した人物として、歴史に名を刻んでいます。

主な戦績

1353年：定遠攻略戦
1357年：常州、寧国攻略戦
1358年：婺州攻略戦
1361年：江州攻略戦
1364年：武昌攻略戦
1366年：淮東攻略戦、海口の戦い
1367年：通州侵攻戦
1370年：鳳翔防衛戦、興元防衛戦
1378年：洮州攻略戦
1381年：雲南遠征
1382年：七星関、大理、鶴慶攻略戦
1387年：金山の戦い
1388年：常徳の反乱鎮圧

参考文献

『明史』巻1　本紀第1 太祖1
『明史』巻2　本紀第2 太祖2
『明史』巻3　本紀第3 太祖3
『明史』巻130　列伝第18　張龍
『明史紀事本末』巻4　太祖平呉
* 『明史紀事本末』巻11　太祖平夏

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