強盗放火殺人囚

強盗放火殺人囚

『強盗放火殺人囚』は、1975年に公開された日本映画で、松方弘樹が主演を務めた「刑務所シリーズ」の第3弾にして最終作です。監督は山下耕作、脚本は高田宏治が担当しました。東映京都撮影所が製作し、東映が配給を行いました。

概要

本作は、『脱獄広島殺人囚』、『暴動島根刑務所』に続く、「松方弘樹刑務所シリーズ」の完結編であり、「世界最強の脱獄アクター」と称された松方弘樹の東映脱獄三部作の最終作です。前2作の監督と脚本家から交代し、山下耕作と高田宏治が新たにタッグを組みました。

あらすじ

物語は、ヤクザを殺害し服役することになった緒方竹見が、模範囚として仮釈放を認められたものの、内縁の妻が書類に判を押さなかったために仮釈放が取り消されるところから始まります。不審に思った緒方は、囚人仲間の協力を得て脱走し、保安課長の妻を人質に立てこもります。妻との面会を果たした緒方は、妻がヤクザに脅迫されていたことを知ります。刑務所内で緒方を抹殺しようとする動きがあり、別の刑務所へ移送される途中、護送車が事故を起こし、緒方は再び脱走することになります。

キャスト

緒方竹見：松方弘樹
小川幸代：ジャネット八田
黄東一：前田吟
敏子：春川ますみ
常代：正司照枝
令子：森田めぐみ
鈴木夏子：小泉洋子
宮地正隆：小松方正
安里八郎：槙健太郎
白木護：石橋蓮司
菊地保安課長：菅貫太郎
文永徳：川谷拓三
三宅春造：若山富三郎

その他、多数の俳優が出演しています。

スタッフ

企画：日下部五朗、杉本直幸、今川行雄
脚本：高田宏治
監督：山下耕作
撮影：赤塚滋
音楽：青山八郎

製作

本作の企画とタイトルは、当時の東映社長である岡田茂が決定しました。岡田は、漢字のタイトルを先に決め、そのタイトルに沿って映画を製作するよう指示していたそうです。本作のタイトルも、当初は『脱走無期殺人囚』という仮題で進められていましたが、最終的に『強盗放火殺人囚』に変更されました。また、岡田社長は、1975年夏の超大作『新幹線大爆破』が不振に終わったため、原点回帰としてアクションとお色気路線を強化する方針を打ち出しました。

脚本

脚本の高田宏治は、当初『大阪脱獄囚 非常線突破』という題名で脚本を書いていたところ、岡田社長によって『強盗放火強姦殺人囚』という過激なタイトルに変更させられました。高田は、このタイトルを逆手に取り、笑える要素を盛り込んだ作品にしようと考えたと語っています。そのため、凶悪なタイトルとは裏腹に、前2作に比べてコミカルな要素が強い作品となっています。また、後半は松方弘樹と若山富三郎のバディムービーのような展開になるが、これはアメリカ映画『スケアクロウ』からの影響だと高田は語っています。

キャスティング

松方弘樹は、当時モデルとして人気があったジャネット八田に熱烈なアプローチをかけ、本作で共演を果たすこととなりました。ジャネットは、東映の作品でセックスシーンがあることを理由に一度は出演を断っています。また、森田めぐみが、松方に犯されそうになる令嬢役として出演し、ヌードを披露しています。

作品の評価

封切り日に『ジョーズ』と本作をハシゴ鑑賞したという映画評論家の山根貞男は、ジョーズは満員だったにもかかわらず、本作の劇場はガラガラだったと述べています。また、タイトルがあまりにも過激であったため、脚本家の高田宏治は、女性から「こんなタイトルの映画を作るようじゃおしまいね」と言われてフラれてしまったというエピソードが残っています。

その他

予告編には、過去の東映作品のBGMが使用されています。
同時上映は『東京ディープスロート夫人』でした。

外部リンク

allcinema
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