彦坂元正

彦坂元正（ひこさか もとまさ）の生涯と業績

彦坂元正は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての時代に生きた著名な上級武士で、代官頭として広く知られています。彼の別名は元成、通称は小刑部であり、彼の生い立ちから人生の主要な出来事までを見ていきましょう。

生い立ちと家族背景

彦坂元正は、三河国にて今川義元に仕えていた彦坂光景の嫡男として生まれました。父の今川氏の没落後、彼は徳川家康に仕えることになります。父と共に政権の混乱を乗り越え、代官としての一歩を踏み出しました。初めに近江国で代官の任務を果たし、その後1596年の総検地では三河・遠江・駿河・甲斐・信濃の五か国を担当しました。

代官としての活動

彦坂元正は、天正17年（1589年）に、彼が奉行を務めた際に発給した七か条の定書によって、遠江、駿河、三河の三か国の代官業務を管理しました。1589年以降、彼は武将としても活躍し、特に天正18年（1590年）の小田原征伐では、家康から長柄奉行としての任務を受け、200本の槍を与えられます。

江戸町奉行としての役割

家康の関東移封後、彦坂元正もそれに従い、相模国鎌倉郡岡津村の岡津陣屋に移り住みました。この時期、大久保長安や伊奈忠次、長谷川長綱らと共に代官頭に任命され、江戸の基礎工事や町奉行として重要な役割を担いました。年貢徴収の際には、作物の出来に応じて税額を調整する独自の手法を取り入れ、地域の経済安定にも寄与しました。

関ヶ原の戦いとその後

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、元正は大久保長安や伊奈忠次らと共に兵士の物資輸送を支援し、戦争の後方支援において重要な役割を果たしました。この後、彼は石田三成の城である佐和山城の引渡しや、毛利氏の支配していた石見国の銀山の接収を行い、徳川家にとっての重要な功績を果たします。

民政における貢献

慶長6年（1601年）には東海道の整備に関わり、一里塚や伝馬の整備を進めることで民政にも貢献しました。しかし、彼のキャリアには試練もあり、慶長11年（1606年）には農民からの訴えにより失脚し、その後は息子たちとともに籠居処分を受けることになります。

最後の時期と死去

慶長20年（1615年）には増上寺の源誉を通じて赦免を試みたものの、徳川家からは許されませんでした。さらに、寛永11年（1634年）にその生涯を閉じ、家は断絶しました。彼の弟宗有も後に不正があったとして流罪となり、彦坂氏の系統は途絶えることとなります。

このように彦坂元正は、激動の時代を生き、数多くの業績を残した上級武士でした。彼の人生は、戦乱の時代における一人の武士の影響力を物語っています。

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