彭ヨウ

彭羕（ほう よう）

彭羕（184年 - 220年）は、後漢末期の政治家です。字は永年（えいねん）。益州広漢郡の出身。

生涯

彭羕は、劉璋と劉備に仕えました。

人物評として「身長8尺、容貌は堂々としていたが、性格は傲慢で、人を見下すことが多かった」と伝えられています。

同郷の秦宓（しんふつ）が許靖（きょせい）に推挙したことがきっかけで、彭羕は益州の書佐（しょさ）となりました。しかし、その傲慢な性格が災いし、讒言（ざんげん）を受け、髠鉗（こんけん、髪を剃られ首枷をされる刑）に処され、労役囚となります。

その後、劉備の陣営にいた龐統（ほうとう）のもとを訪れて語り合った際、その才能を認められます。法正（ほうせい）も以前から彭羕を知っていたため、劉備の下へ引き合わされました。劉備は彭羕に軍事について諸将に指示を出させましたが、彼は見事にその役割を果たし、重用されるようになります。劉璋を降伏させた後、彭羕は益州の治中従事（じちゅうじゅうじ）となりました。

しかし、彭羕は次第に思い上がり、傲慢な振る舞いが目立つようになります。諸葛亮（しょかつりょう）が劉備に対し、「彭羕は野心が大きく、大人しく仕えさせるのは難しいでしょう」と密かに進言したため、劉備は彭羕の行状を観察し、次第に疎んじるようになり、江陽太守（こうようたいしゅ）として左遷しました。

この左遷への不満から、彭羕は馬超（ばちょう）に対し、「老革（ろうかく、年老いた兵士の意で劉備を指す）は耄碌（もうろく）していて話にならない」「卿（馬超）が外（軍事）を、我が内（内政）を握るなら、天下に不足はないのだが…」と、劉備への謀反ともとれる発言をしました。馬超がこの事をすぐに劉備に報告したため、彭羕は逮捕され、係の役人に引き渡されることになります。

彭羕は獄中から諸葛亮に手紙を送り、劉備から我が子に与えられるような厚い恩愛（分子之厚）を賜りながら、慈父を裏切った罪は万死に値すると認めつつも、馬超に漏らした言葉については弁明しました。その後、処刑され、37歳でその生涯を閉じました。

三国志演義での彭羕

小説『三国志演義』では、字は永言（えいげん）となっています。親友である孟達（もうたつ）が関羽（かんう）を見殺しにしたことで立場が危うくなったため、孟達宛の書簡を自分の従者に渡しますが、この従者が関所で馬超に見つかり投獄されてしまいます。事態を察知した馬超が、彭羕の邸宅を訪れて真相を探ると、彭羕は正史と同じような言葉で劉備への謀反とも取れる話を持ちかけます。その後は正史と同様に、馬超が劉備に上奏したため、警護兵に逮捕され処刑されることになります。親友の刑死を知った孟達は、すぐに上庸（じょうよう）から魏（ぎ）へと亡命したという設定になっています。

参考文献

* 『三国志』 - 劉彭廖李劉魏楊伝第十：彭羕伝

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