彳部

彳部（てきぶ）とは

漢字の部首の一つで、康熙字典では214部首の60番目に位置します。3画の部首としては31番目です。

概要

「彳」の字を構成要素に持つ漢字が分類されています。「彳」という文字は、元々単独では存在せず、部首分類のために作られました。十字路を表す「行」の略体であるとされています。

「彳」は、意味を表す意符として、道、歩行、足の動作などに関わる漢字に含まれます。現代中国の簡体字の部首分類では、彳部と行部は統合されています。日本の漢和辞典でも、一部で同様の扱いをすることがあります。

部首の通称

日本: ぎょうにんべん（行の人の部分に似ていることから）
中国: 双人旁 (shuāng rén páng)
韓国: 두인변부 (du in byeon bu、2つの人偏の部)
英米: Radical step

部首字

「彳」

広韻: 丑亦切、昔韻
詩韻: 陌韻、入声
三十六字母: 徹母
日本語: 音読み テキ（漢音）、チャク（呉音）
中国語: ピンイン chì、注音 ㄔˋ、ウェード式 ch'ih 4
朝鮮語: 訓音 걸을 (georel、歩く)척(cheok)

例字

役、往、征、彼、後、待、律、徐、徒、径、得、従、御、復、微、徹、徳、徴、徽、彷、徨、徘、徊など

彳部の成り立ちと意味

「彳」は、もともと「行」という漢字を簡略化したものです。「行」は十字路の形を表し、人が歩く様子を示しています。そのため、「彳」を含む漢字は、歩く、進む、行くといった意味を持つものが多く、人の行動や状態を表す語に用いられることが特徴です。

彳部と行部の統合

現代中国語では、簡略化の過程で「彳」と「行」が統合され、部首としては「行」のみが使われることが一般的です。これは、漢字の簡略化と部首の整理を目的としたもので、より効率的な漢字学習を目指すものです。日本でも一部の漢和辞典で、この統合の流れに沿った分類を採用しています。

彳部を構成要素に持つ漢字の例

役：役割、任務、労働など、人が行うべきことを意味します。
往：過去へ行く、進む、向かうなど、移動を表します。
征：遠征、討伐など、目的を持って進むことを示します。
待：待つ、見守るなど、ある行動を保留する意味です。
律：規則、基準など、人の行動を制限、規範する意味です。
徒：徒党、無駄など、目的を持たない行動を表します。
径：小道、手段など、行動の道筋を示します。
従：従う、付随するなど、あるものに付き従う意味です。

これらの漢字からもわかるように、「彳」を含む漢字は、人の行動、状態、道のりなど、人間の活動に密接に関わる意味を持つものが多いです。部首として「彳」を意識することで、漢字の意味を理解しやすくなるでしょう。

まとめ

「彳部」は、漢字を理解する上で重要な役割を果たす部首の一つです。その成り立ちや意味を知ることで、漢字学習をより深く、より楽しく進めることができるでしょう。

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