後漢 (五代)

後漢

後漢（こうかん）は、中国の五代十国時代に存在した王朝の一つで、947年から950年までの短い期間に存在しました。初代皇帝はテュルク系沙陀族の劉知遠（りゅう ちえん）で、都は開封に置かれました。後漢は、五代の中でも特に短命な王朝として知られています。

建国前夜（後晋の滅亡）

後漢の建国前、中原では後晋が遼（契丹）の侵攻によって滅亡するという激動の時代を迎えていました。942年、後晋の高祖である石敬瑭（せき けいとう）が亡くなると、その遺志に反して少帝の石重貴（せき ちょうき）が擁立されました。

宰相の景延広（けい えんこう）は対遼強硬派であり、遼への歳幣を停止し、屈辱的な外交からの脱却を図りました。しかし、この強硬策が遼の怒りを買い、944年には遼の侵攻を招きます。946年には遼の太宗が親征を行い、開封は陥落し、後晋は滅亡しました。

遼の侵攻は、後晋の反遼姿勢への懲罰と、華北支配を目的としていましたが、遼国内では遊牧勢力の反発や、略奪部隊による漢民族の激しい抵抗があり、遼軍は撤退を余儀なくされました。

後漢の建国

後晋の武将であった劉知遠は、後晋滅亡の混乱の中、947年に晋陽で皇帝を称し、後漢を建国しました。劉知遠は、後晋時代に河東節度使として軍事力を蓄えており、その勢力を背景に独立を果たしました。

当時、華北は遼軍によって占領されており、各地で反乱が頻発していました。後漢軍は、遼軍が撤退した後の947年6月に開封に入城しましたが、後晋時代からの節度使たちは劉知遠を快く思わず、各地で反乱を起こします。

これらの反乱を鎮圧するのに功績を挙げたのが、宰相で枢密使であった郭威（かく い）です。郭威は、その後の後周の建国者となる人物です。

滅亡

後漢の初代皇帝である劉知遠は、即位の翌年である948年に死去し、子の劉承祐（りゅう しょうゆう）が後を継ぎます。しかし、幼い皇帝を擁立した政権内部では権力闘争が繰り広げられました。

950年、郭威は遼の南下に備えるために鄴都へ赴任しましたが、その隙を突いて皇帝の側近が有力武将を粛清しようとしました。これに対し、郭威はただちに兵を挙げ、開封に入城して皇帝側近を殺害し、皇帝の劉承祐も殺害されました。

郭威は、一旦は劉知遠の甥である劉贇（りゅう いん）を次の皇帝に擁立しましたが、後に自身が皇帝となり後周を建国しました。後周の成立によって不要となった劉贇は殺害され、後漢は滅亡しました。

北漢の成立

劉贇の父である劉崇（りゅう すう）は、後漢滅亡後、晋陽で自立し、十国の一つである北漢を建国しました。北漢は、後周の後に成立した北宋によって滅ぼされる979年まで存続しました。

後漢の皇帝

1. 高祖 劉知遠（在位：947年 - 948年）
2. 隠帝 劉承祐（在位：948年 - 950年）

一時擁立された劉贇は、正式な皇帝とはされていません。

後漢の元号

天福（947年）
乾祐（948年 - 950年）

関連項目

五代十国時代
劉知遠
劉承祐
郭威
遼
劉崇

後漢は短命な王朝でしたが、その後の後周や北宋の成立に繋がる重要な役割を果たしました。また、この時代の混乱は、中国史において大きな転換点となりました。

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