後藤三右衛門

後藤三右衛門の生涯



後藤三右衛門(ごとう さんえもん)、本名は光亨(みつみち)。彼は1796年に生まれ、1845年に逝去した江戸時代後期の著名な商人であり、13代目後藤庄三郎でもあります。彼の家系、後藤庄三郎家は、慶長時代から徳川氏に仕え、金座や銀座を支配する商家として名を馳せていましたが、1810年には取り潰され、その後、分家の三右衛門方至がその地位を引き継ぎました。

三右衛門は飯田藩の商人・林弥七言政の四男として生まれ、婿養子として三右衛門家を継承しました。彼は文化5年(1808年)から上洛し、漢学と経学を学び、その後、商人としての活動を本格化させていきます。

文化2年(1819年)、三右衛門は貨幣改鋳を実施し、文政小判の鋳造を開始しました。後藤三右衛門は経済界での影響力を強め、老中水野忠邦と共に「水野の三羽烏」と呼ばれるようになり、経済面での重要な助言者として認識されるようになりました。彼は、天保通宝の鋳造を計画し、天保6年(1835年)からその鋳造が開始されました。この天保通宝は短期間で大量に鋳造され、高い評価を受けました。

その後も彼は天保小判や天保五両判の鋳造を手がけ、幕府へ多大な利益をもたらしました。1837年には物価高騰の理由を上申し、慎重な改鋳を求める提出を行いましたが、物価の高騰を抑えるための取り組みは困難を極めました。1844年には江戸城本丸が火災に遭い、その後の政治的な動きの中で、忠邦の再登用や自身の立場にも変化が生じました。

弘化2年(1845年)、後藤三右衛門は忠邦との贈収賄が発覚し、斬首される運命に至ります。これによって三右衛門家は断絶し、後藤三右衛門は歴史の中へ消えていきました。彼の墓所は東京都江東区三好の雲光院に位置しています。

飯田への貢献



後藤三右衛門は飯田との関わりも深く、文政6年(1823年)の大火による見舞金を500両送るなど、地域の人々を支援する姿勢を示しました。また、天保の大飢饉時には、窮乏者救済のために実家の兄に金を送るなど、怜悧な商人としてだけでなく、地域に対する責任感も強く持っていました。

彼は飯田の人形劇文化の形成にも寄与し、国許の義兄と協力して役者を招く興行を手配するなど、地域の文化の発展を後押ししました。このように後藤三右衛門は単なる商人としての活動に留まらず、地域社会に深く根ざした人物でもありました。

影響と後世



彼の業績や生涯は、後世の文学やテレビドラマにおいても取り上げられています。特に、テレビドラマ『江戸を斬る』や、みなもと太郎の『風雲児たち』、松本清張の『天保図録』は彼の存在を広める助けとなりました。これらの作品により、後藤三右衛門という歴史的人物が現代に蘇り、その知名度は今もなお高いままです。 彼の商才と政治とのうねりの中での活躍は、現在の経済のしくみや歴史を考える上で非常に重要な一例と言えるでしょう。

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