後藤庄三郎

後藤庄三郎の歴史と役割

後藤庄三郎（ごとう しょうざぶろう）は、江戸時代の日本において金座の当主として知られ、御金改役を世襲した家系の一部です。この名家は初代の後藤庄三郎光次から始まり、11代目まで続きました。彼らは日本の貨幣鋳造において重要な役割を果たしましたが、最終的には断絶しました。以降、その役割は支流の三右衛門家や後藤四郎兵衛家の後藤吉五郎が引き継ぎました。

初代庄三郎の登場

文禄2年（1593年）、初代の橋本庄三郎は、徳川家康と面会し、文禄4年（1595年）には彫金師である後藤徳乗の代理として江戸へと赴きました。彼の出身には様々な説があり、美濃国の加納城主の子孫だとも言われていますが、その信憑性は疑問視されています。庄三郎は京都の後藤家で職人として働く中、徳乗に才能を認められて、代理人としての地位を得ました。徳乗の許可を受け、庄三郎は「後藤庄三郎光次」という名を名乗り、五三桐紋の使用権も与えられました。これにより、後藤家は室町幕府以来の金匠としての名声を持ち、京都では茶屋四郎次郎家や角倉了以家とともに権威を得ることとなりました。

江戸の金座の設立

当時、金座の判金は大判を指していましたが、家康は一両小判の鋳造を計画しました。そうして生まれた武蔵墨書小判は、庄三郎が江戸に下向した際に鋳造されたもので、当時の領国貨幣として広く流通しました。庄三郎光次は文禄4年に江戸本町一丁目を拝領し、後藤屋敷を建設しました。屋敷内には小判の極印を打つための役所を設置し、現在の日本銀行の所在地にあたります。さらに、家康の信任を得て、庄三郎は金山や銀山の監督を行い、貿易においても重要な役割を担いました。

後藤庄三郎家の世襲制

後藤家は世襲制であり、大半は養子によるものでした。実際の嫡子として認められたのは、七代、八代、十代、十一代の4名に過ぎません。特に二代目の庄三郎広世は家康の落胤とされ、後藤家の由緒書にもこの情報が記録されています。九代の庄三郎光暢は金貨の鋳造過程で不正を行い、その結果、寛政2年（1790年）に追放されました。最終代の十一代庄三郎光包も不正が発覚し、文化7年（1810年）には流罪となり、庄三郎家は断絶します。

御金改役の変遷

後藤庄三郎家が途絶えた後、御金改役は光次の養子である後藤庄吉の子孫に引き継がれました。しかし、その後を継いだ後藤三右衛門孝之は、天保の改革において重要な役割を果たしました。彼は改革後、奢侈を理由に処刑され、結局三右衛門家も断絶しました。その後、御金改役には京都の後藤四郎兵衛家から吉五郎光弘が任命され、彼が最後の御金改役となりました。

結論

後藤庄三郎の家系は、日本の貨幣制度、特に金座の形成と発展において重要な役割を担いましたが、家系自体は不正や改革の影響を受けて断絶しました。その痕跡は現代における貨幣制度の基礎にも関わっており、後藤家の歴史は日本の経済史における重要な一章となっています。

もう一度検索