徐琨

徐琨（じょ こん）

徐琨は、後漢末期の武将であり、揚州呉郡富春県（現在の浙江省杭州市富陽区）の出身です。徐真と孫堅の妹の間に生まれ、徐矯・徐祚・徐夫人の父にあたります。また、孫策・孫権とは従兄弟（娘婿とも）の関係にありました。

生涯

徐家は呉郡における豪族であり、孫家とは元々交流がありました。そのため、孫堅の意向により徐真は孫堅の妹を娶り、徐琨が生まれました。徐琨は若い頃から郡の役所に務めていましたが、初平元年（190年）に孫堅が董卓討伐の兵を起こすと、部曲を率いて孫家に付き従い、その功績により漢朝から偏将軍に任じられました。これは、孫堅の家臣の中では最高の官位であったとされています。

叔父である孫堅の死後の動向は不明な点が多いですが、興平元年（194年）に孫策が兵を起こすと、徐琨もこれに従軍しました。孫策が揚州刺史の劉繇と戦い、その部将である樊能・于糜が守る横江津を攻撃する際、まず張英が守る当利口の攻略に取り掛かりましたが、船が不足していたため、孫策は軍勢を留めて船を補充しようとしました。この時、軍中にいた孫策の母（徐琨の母）が「州家（劉繇）が多数の水軍を動員してくると、戦いは不利になります。このまま軍勢を留めておいてはいけません。蘆や葦を刈って筏を作り、船の役目を補いながら軍勢を渡せばよいのです」と進言しました。徐琨がこの意見を孫策に伝えると、孫策は直ちに実行に移しました。その結果、孫策軍は張英を破ることができ、江南での覇業の第一歩を築くことができました。

その後、孫策によって丹陽太守に任命されましたが、袁術の下で広陵に赴任していた呉景が孫策の旗下に加わると、建安2年（197年）に呉景が丹陽太守となり、徐琨は督軍中郎将に任命されました。当時、孫策は袁術から任命された丹陽太守である袁胤を徐琨に討伐させていましたが、徐琨が丹陽太守となると、その兵力が大き過ぎることを警戒し、手元に置いておく方が都合が良いと考え、かつて丹陽を統治したこともあり、民に慕われていた呉景に交代させたと言われています（『江表伝』）。

建安5年（200年）、孫権による李術討伐に参加し、平虜将軍・広徳侯に昇進しましたが、孫権が黄祖と戦った際に流れ矢に当たり戦死しました。

子の徐矯（徐夫人の兄）が跡を継ぎ、広徳侯となりました。山越平定で活躍し偏将軍となりましたが、徐夫人より早く亡くなりました。徐矯に子がいなかったため、その弟である徐祚が跡を継ぎました。徐祚は戦功を挙げ、蕪湖督・平魏将軍となりました。

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