徐詳

徐詳（じょ しょう）

徐詳（生没年不詳）は、中国三国時代の呉に仕えた人物です。字は子明といい、揚州呉郡烏程県（現在の浙江省湖州市呉興区）の出身です。

生涯

徐詳がいつから孫権に仕えたかは不明ですが、その才能を認められ、早い段階から側近として重用されました。建安14年（209年）に孫権が車騎将軍となると、京口（現在の江蘇省鎮江市）に都を定め、是儀や胡綜と共に、国家の重要な機密事項を処理する役目を任されました。彼らは孫権の信頼に応え、呉の政治・軍事を円滑に進める上で重要な役割を果たしました。

建安22年（217年）、孫権は徐詳を和睦の使者として曹操のもとに派遣しました。この時、曹操は徐詳に対し、「わが生涯の願いは、長江を渡り、孫将軍と共に姑蘇（現在の江蘇省蘇州市）を観光し、長洲（蘇州の州名）で狩りをすることだ。それが叶えば満足だ」と語りました。しかし、徐詳は曹操の言葉を疑い、真意を測ろうとしました。曹操はそれに対し、「徐さんは、私が冗談を言っていると思うのか」と笑って答えたと伝えられています。この会談を通じて、呉と魏の間で同盟関係が結ばれ、さらに姻戚関係を結ぶ誓約が交わされました。徐詳は、この功績により都尉・少府に任じられました。

その後、徐詳は侍中・偏将軍へと昇進し、孫権が呉王に封じられると、是儀、胡綜と共に魏の朝廷から亭侯に封じられました。『三国志』胡綜伝によれば、孫権は初めて節度官の位を設置し、徐詳をその職に任命して兵糧の管理を任せました。劉備を討つために白帝城を攻撃することになると、解煩兵（呉軍の特殊部隊）の左部督として、右部督に任じられた胡綜と共に夷陵の戦いに参加しました。夷陵の戦いにおける具体的な活躍は詳述されていませんが、呉軍の一員として勝利に貢献したと考えられます。

黄龍元年（229年）、孫権が皇帝に即位し、都を建業（現在の南京市）に戻すと、徐詳は郷侯に昇進しました。しかし、その没年は明らかになっておらず、胡綜よりも先に亡くなったとされています。徐詳の死後、諸葛恪が節度官の職を引き継ぎました。

徐詳は、孫権の側近として、外交交渉から軍事作戦まで幅広く活躍し、呉の発展に大きく貢献しました。特に曹操との交渉を通じて同盟関係を築いたことは、呉にとって大きな成果と言えるでしょう。

参考文献

* 『三国志』

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