御料所

御料所（ごりょうしょ）

御料所とは、天皇（皇室）や幕府など、公儀と称される公権力が直接支配した土地（直轄地）を指します。料所、料、御料、料地、御料地などとも呼ばれ、家臣に与えられた所領（知行地）に対する概念として用いられます。

概要

守護大名や戦国大名の蔵入地、江戸幕府の公儀御料（明治以後は天領）も御料所の一種です。天皇の御料地は特に禁裏御料、または皇室御領と称されることがあります。実際には家臣などが代官として支配・経営することも多く、実態としては朝廷や幕府を本所や本家、あるいは領家とした荘園に近い形態であったと考えられています。

室町幕府も50ヶ所近い御料所（公方御料）を保持し、直臣である奉公衆や奉行衆を代官として派遣して税を納めさせていましたが、戦乱が相次いだことで経営は不安定でした。足利氏が鎌倉幕府に認められていた所領35ヶ所、および建武政権下で鎌倉幕府倒幕の恩賞として授けられた45ヶ所が公方御料の元となりました。しかし、足利義満・義持の頃まで幕府に残されていたのは下野国足利荘など少数でした。その一方で幕府成立後の獲得分も存在し、記録上登場する公方御料はのべ200ヶ所にのぼりますが、一時的な支配地も相当数含まれていました。そのため次第に京都の商工業から挙がる税収に依存するようになり、納銭方を「料所」と呼称したのもその反映であるとされています。また、山城国守護職を幕府の侍所所司などの要職者に宛がって短期間で交代させることで、守護領国制の形成を阻止するとともに、その経済的得分の一部を確保していました。

ただし、御料所には足利将軍家の近親や、守護やその関係者に預けられるケースもありました。御料所の中には大規模かつ高収入な所領がかなり多く、通説よりも高く評価すべきだという説もあります。

中世戦国期における毛利氏の場合、石見銀山を名目上“禁裏御料”とすることで、朝廷への経済的援助を伴いながら、時の政権（豊臣氏）の干渉を免れていたようです。毛利氏と上杉氏は、戦国期の皇室援助における2大功労者として知られています。

もう一度検索