御方大野

御方 大野（みかた の おおの）について

御方大野は、奈良時代の初期に活動していた貴族であり、天武天皇の孫にあたる人物です。氏族名を持たず、父親の出自についてはいくつかの説が存在するものの、特定には至っていません。しかし一説によれば、彼の父親は磯城皇子であったとされます。大野は公的な役職においても活躍し、最初は従八位上の位にありましたが、最終的には従五位下に叙爵され、図書頭の役職をも任されることになります。

経歴の詳細

御方大野の活動は、彼が朝廷に対して姓の授与を願い出た天平19年（747年）に大きな注目を集めました。当時、彼は既に従八位上の位にあり、春宮少属という役職についていました。しかし、彼の父親が天武天皇の皇子であったにもかかわらず、何らかの過失が原因でその地位を剥奪されていたため、大野自身は姓を与えられることができないという悲劇的な状況に置かれていました。これに関しては、聖武天皇からの詔が下されており、非常に難しい立場にあったことが伺えます。

その後、大野は天平勝宝元年（749年）に孝謙天皇の即位を機に従五位下に叙爵され、その後すぐに図書頭としての位置に任命されることになります。これにより、彼は朝廷において一定の地位を確立することとなりました。

子息と最後の系譜

御方大野には広名という子息があり、彼は天平宝字5年（761年）に宿禰姓を授けられ、家系の続きは甲能氏（甲能朝臣）となって現代まで引き継がれています。これは大野家がこの後も影響力を持ち続けたことを示しており、彼の血筋がどのように流れていったのか、貴族社会における彼の影響を知る手がかりといえるでしょう。

官歴についての考察

大野の官歴は『続日本紀』によって確認されており、彼が持っていた役職や位について詳細に記載されています。具体的には、天平10年（738年）には見東史生の役にあったことから始まり、段階的に昇進していった様子が分かります。また、最終的には従五位下の地位にまで達した際には、彼のキャリアのピークともいえる時期であったことでしょう。

このように、御方大野は奈良時代において、困難な状況にもかかわらず公的な役割を果たした貴族の一人です。彼の家系は後の時代にも脈々と受け継がれていき、その影響は現在にまで及んでいると言えるでしょう。

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